1996 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト歯髄内のカテコールアミンとその関連酵素の免疫組織学的検討-とくにDOPA含有神経の生理学的意義について-
Project/Area Number |
07457435
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Research Institution | Matsumoto Dental University |
Principal Investigator |
井上 勝博 松本歯科大学, 総合歯科医学研究所, 教授 (70018422)
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Keywords | カテコールアミン生合成酵素 / 歯髄 / ヒト / ドーパ / カテコール-O-メチル基転移酵素 |
Research Abstract |
歯髄内に交感神経(すなはちアドレナージック神経)が血管と密接な関連をもって存在することは蛍光組織化学的方法によってすでに明らかにされている.生化学的方法によるカテコールアミンの量の測定ではノルアドレナリンがもっとも多いとされているが,最近ドーパやドーパミンが多量に歯髄内に存在するとの報告がなされている.また,ドーパが脳内では伝達物質様の働きをするとの報告もされており,歯髄内の交感神経の伝達物質としてはノルアドレナリンのみかどうかは議論の余地のあるところである.そこで本研究ではヒト歯髄内でのカテコールアミンの生合成について明らかにする目的で,ヒト第三大臼歯の歯髄を用いて,チロシン水酸化酵素(TH),芳香族アミノ酸脱炭酸酵素(AADC),ドーパミンベータ-水酸化酵素(DBH),フェニールエタノールアミンN-メチル基転移酵素(PNMT)と分解酵素であるカテコール基Oメチル化転移酵素(COMT)の存在様式を,免疫組織学的方法で検索した.またカテコールアミン生合成酵素の活性も計測した.その結果,1,ヒト歯髄内ではTH,AADC,DBHの活性が認められ、そのうちAADCの活性が最も高かった.2,カテコールアミンの生合成酵素であるTH,AADC,DBHは細動脈の壁に密接して存在する細線維や終末と思われる部位に存在した.PNMT陽性神経線維は認められなかった.AADCは神経のほかに血管壁の平滑筋細胞にも存在した.3,COMTは血管壁の内皮細胞に存在した.得られた結果は交感神経の最終産物がノルアドレナリンであることを強く示唆している.ヒト歯髄では,カテコールアミンは神経内に存在し、主として血管とかかわっていることを示しているが,AADCが平滑筋細胞にCOMTが内皮細胞に存在することは,ドーパが非神経組織に存在し,両者がドーパの代謝に関与していることをを示唆している.
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Research Products
(1 results)