1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07457486
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
上田 実 名古屋大学, 医学部, 教授 (00151803)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
各務 秀明 名古屋大学, 医学部, 助手 (80242866)
新美 敦 名古屋大学, 医学部, 助手 (20240806)
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Keywords | 培養上皮 / 口腔粘膜細胞 / 表皮細胞 / 凍結保存 / 自家培養上皮移植 / 同種培養上皮移植 |
Research Abstract |
培養上皮に関する研究は形成外科領域で多くの業績が挙げられ、一部ではすでに臨床応用が行われている。しかし、これらはいずれも皮膚の表皮細胞を用いた自家培養上皮移植であり、同種移植に関してはほとんど行われていない。 本研究は、口腔粘膜細胞が表皮細胞に比べて分化度が低く、細胞増殖能が高い生物学的特性に着目し、口腔粘膜細胞を用いた培養上皮を作製し、同種培養上皮移植の確立を目指したものである。 現在までに口腔粘膜細胞を用いた培養上皮の作製方法は畠らにより確立し、その形態学的特性もほぼ解明した。また、われわれは自家移植とともに同種移植の確立を目指しているため、その免疫学的特性にも注目してきた。一般に培養細胞はその作成過程で、継代を繰り返すうちに抗原提示能の減少を認めている。培養上皮も同様に、その作成過程において継代を行うため抗原提示細胞であるランゲルハンス細胞が消失することを確認した。このことは、同種移植においても培養上皮が生着するために有利に働くものと思われる。 さらに、われわれは、常時培養上皮を移植可能にするため培養上皮を凍結保存し、必要時に解凍し用いる方法の確立を試みた。これについては、凍害防止剤としてグリセリンを用い、緩徐な冷却を行い凍結保存することにより、解凍後も約70%の細胞が生存することを確認し報告した。また、凍結前に比べ凍結解凍後の培養上皮は抗原提示能がさらに減少することも確認した。この点については今後さらに詳細に検討し、免疫反応を弱めることにより、より生着し易い同種移植法を確立していきたいと考えている。 移植に関する実験では、杉村らのヌードマウスを用いた報告により、培養粘膜上皮も生着することが確認されている。同種移植に関しては、腫瘍摘出後、皮弁により口腔内が再建された症例に対し、口腔内の皮膚を培養粘膜上皮により置換することで口腔内の環境を改善する症例も報告した。この症例では、培養粘膜上皮の移植症例の新たな適応を広げたと考えている。 本年度は、臨床症例をさらに増やしていくとともに、培養上皮の産生するサイトカインなどの創傷治癒に対する影響など、更なる検討をしていきたい。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Yasuo Sugimura,et al: "Transplantation of cultured mucosal epithelium An experimental study" Journal of Cranio-Maxillofacial Surgery. (1997)
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[Publications] Yoshitak Hibino,et al: "Structual changes and cell Nability of cultured ephithelium after freezing stoag" Journal of CranioMexillofacial Surgery. (1997)
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[Publications] 日比野祥敬,他: "培養上皮シートを移植し口腔内移植皮弁を粘膜化した1例" 日本口腔科学会雑誌. 第45巻3号. 293-297 (1996)