1996 Fiscal Year Annual Research Report
ヒドロキシアパタイトの組成と骨形成に関する研究(微量元素の与える影響および骨形成因子の影響について)
Project/Area Number |
07457489
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
島田 桂吉 神戸大学, 医学部, 教授 (70010204)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
栄田 和 神戸大学, 医学部・附属病院, 医員
高橋 伸彰 神戸大学, 医学部・附属病院, 医員
寺延 治 神戸大学, 医学部・附属病院, 講師 (40127379)
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Keywords | HAP / 培養実験 / L929 / MC3T3-E1 / 培養液 / 組織再生誘導法 / Gore-Tex / 骨形成 |
Research Abstract |
昨年度までの骨原性細胞MC3T3-E1を用いた培養実験から、Mgを少量加えたヒドロキシアパタイト(HA)は、MC3T3-E1の増殖能を活性化することがわかった。そこで、今年度はHAの種々の微量元素の含有量が細胞に与える影響を検討するため、培養液中の微量元素濃度を変化させ初期付着率により比較検討した。 実験細胞は、骨原性細胞MC3T3-E1と線維芽細胞L929を用い、細胞培養法による生体適合性評価表に従い行った。Ca濃度についてはMC3T3-E1、L929ともに濃度の上昇により付着率が上昇した。P濃度においてはMC3T3-E1では濃度の上昇とともに付着率も上昇したが、L929では付着率は低下した。Mg濃度については、Ca濃度と同様にMC3T3-E1、L929ともに濃度の上昇により付着率が上昇した。これらのことより、HAより溶出する微量元素もこれらの細胞に対して活性的に作用するものと考えられた。 次にHA周囲での骨形成因子の影響を調べるため、周囲因子の除外を目的として行われる組織再生誘導法を用い、骨形成状態を観察した。 実験いは、コの字型の約2mmの空隙のあるHAを用い、実験群には、組織再生誘導法を用い、家兎脛骨内への移植時に人工膜(Gore-Tex)で覆い、対照群は覆わないものとし、経時的にHAの空隙内の骨形成状態を比較検討した。 対照群では、コの字型空隙の皮質骨近接部では骨形成が認められたが、深部では骨形成を妨げるように線維性組織の侵入が認められた。実験群においては、対照群より早期にコの字型の空隙に骨形成が認められ、また3ケ月後には空隙の深部にまで骨形成が認められた。これらの結果より、HAの骨形成には周囲因子の影響が関与することが示唆された。
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