1995 Fiscal Year Annual Research Report
ダイナミックインターフェイスとしての血液脳関門機能と薬物移行相関
Project/Area Number |
07457527
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (B)
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
辻 彰 金沢大学, 薬学部, 教授 (10019664)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
崔 吉道 金沢大学, 薬学部, 助手 (40262589)
玉井 郁巳 金沢大学, 薬学部, 講師 (20155237)
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Keywords | blood-brain barrer / P-glycoprotein / drug efflux pump / secondary active transport / doxonibicin / taurine / monocarboxylic acid transpoter / MCT1 |
Research Abstract |
すでに我々は「二次性能動輸送系介在」と「P-糖蛋白質による能動的排出」による外因性物質選択的脳移行制御機構がダイナミックインターフェースとしての血液脳関門機能を担っているという独創的概念を提唱し、その実証的研究に1990年以来力を注いできた。本研究はその一貫に位置し、以下に示す結果を得た。 1.椎骨動脈の焼結切断及び総頸動脈の結紮によりラット脳血流を20分間虚血させたところ、脳内ATP量が正常時の3%まで低下し、脳潅流法で求めたdoxorubusin(DOX)の脳透過係数(PS)は正常時の17倍に増加したが、血流再開通30分後及び24時間後には脳内ATP量とDOXのPSは正常時とほぼ等しい値まで回復した。これに対して、BBB非透過性マーカーとしての[^<14>C]sucroseのPS値には虚血・再潅流によって変化が見られなかった。また、初代培養ウシ脳毛細血管内皮細胞(BCECs)内のATP量の減少に伴って、DOXの細胞内蓄積量の増大が観測された。以上の結果より、ATP依存的な薬剤排出ポンプによってDOXの脳内移行が著しく制限されていることをin vivo及びin vitroの両面から実証できた。 2.[^3H]TaurineはBCECsを細胞内に向けられたNa^+とC1^-勾配を駆動力として、頂側膜側及び側基底膜側よりβ-alanineと共通の輸送系を介して二次性能輸送されることが分かった。ラット脳潅流法で求めた[^3H]taurineのPS値がNa^+及びC1^-非存在下で[^<14>C]sucuroseのPS値にまでに低下するなど、そのBBB透過性においてin vitroBCECs系と類似した結果が得られた。以上の結果から、生体内において、循環系と脳内のtaurine交換が行われているが、ネットとして血液側から脳内に向けてtaurineが移行していることが推測された。 ラット小腸からクローニングに成功したH^+/モノカルボン酸輸送系MCT1が、PT-PCR法によって脳毛細血管内皮細胞にも発現していることを確認し、その塩基配列が小腸のそれと一致することを認めた。本MCT1が血液脳間のモノカルボン酸化合物交換を制御していると思われる。
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