1996 Fiscal Year Annual Research Report
受容体刺激で収縮させた単離平滑筋細胞の刺激除去による自然弛緩の解析
Project/Area Number |
07457544
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Meiji Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
内田 幸宏 明治薬科大学, 薬学部, 教授 (90097197)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大石 一彦 明治薬科大学, 薬学部, 助手 (80203701)
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Keywords | 自然弛緩 / 収縮 / ムスカリ受容体 / 平滑筋 / 培養細胞 / 分化 |
Research Abstract |
収縮した平滑筋は収縮刺激物質が無くなっただけで、弛緩物質がなくまた張力を懸けずとも平滑筋は自然に弛緩する。本研究の平成7年度では、受容体刺激により短縮した単離平滑筋細胞の自然弛緩は、単にその張力による復帰のみではなく、プロテインキナーゼ(PKC)による燐酸化制御によって調節を受けていることを初めて明らかにした。そこで平成8年度では、受容体刺激依存性の短縮に特徴的なPKC依存性の自然弛緩機構の生理的意義を明らかにすることを目的として検討を行った。 線維芽細胞や脱分化型(増殖型)平滑筋細胞は、発生する張力は分化した平滑筋に比べて極めて小さいが、受容体刺激に伴って張力を発生することが知られている。そこで、モルモット胃底部より単離した平滑筋細胞を培養することにより脱分化させた細胞を用いて、受容体刺激依存性の短縮に特徴的なPKC依存性の自然弛緩機構の平滑筋の分化依存性との関連性を検討した。培養平滑筋細胞にムスカリン受容体のm3サブタイプを発現させたクローン細胞は、アセチルコリンで受容体を刺激することにより細胞の短縮を引き起こす。その後洗浄して収縮刺激を除去すると、細胞は弛緩することなくさらに短縮した。この結果は、受容体刺激により短縮した単離平滑筋細胞は収縮刺激を除去すると自然弛緩が生じることと対照的である。収縮刺激除去後の短縮は、アセチルコリンの濃度を下げて部分的に短縮が生じる濃度にしても観察されることから、洗浄により除去できなかったアセチルコリンがさらに短縮を引き起こしているとは考えられない。むしろ、平滑筋細胞が脱分化型に移行すると、受容体刺激依存性の短縮に特徴的な自然弛緩機構が働かなくなると考えられた。これらの知見は、受容体刺激依存性の短縮に特徴的な自然弛緩機構は、分化型の平滑筋細胞に備わる機構であることを初めて示唆するものであるとともに、培養平滑筋細胞を用いての今後の検討が、自然弛緩機構の分子的解析に有用であることを示すものである。
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[Publications] Mita,M.,Satoh-Akimoto,K,.Oishi,K.,Hashimoto,T.and Uchida,M.K.: "Inhibition of muscarinic receptor-operatedCa2^<2+>sensitization by short-term desensitization of α-toxin-permcabilized smooth muscle cells from guinca-pig stomach." General Pharmacology. (in press).