1995 Fiscal Year Annual Research Report
生体膜との静電的相互作用を考慮した薬物吸収の新規法則性の確立
Project/Area Number |
07457547
|
Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (B)
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
宮崎 勝巳 北海道大学, 医学部・付属病院, 教授 (30166144)
|
Keywords | 消化管吸収 / 脂溶性 / 水素結合 / 膜透過 |
Research Abstract |
本研究では、当初実験計画に従い、薬物をイオン種別(アニオン型、カチオン型、両性イオン型)の3群について検討を進めている。平成7年度は3群に分類した薬物のうち、主にアニオン型薬物について検討した。すなわち、抗炎症薬を中心とするアニオン型薬物を用いて、その物理化学的測定値とラット小腸を用いたin situ一回潅流法による消化管吸収性との関係を検討した。その結果、従来用いられてきたオクタノール-水分配係数のみを用いた場合より、分子容積や水素結合、疎水性脂質透過速度の要因を用いて重回帰した場合の方がよい相関を示した。また、疎水性脂質膜透過速度の指標としてシリコン膜透過速度を代用できることも明らかとなった。なお、これらの結果は関係学会(薬物動態学会)に発表すると共に雑誌(Pharmaceutical Sciences)に公表した。 当初の計画では、測定するべき薬物の物理化学的性質として有機溶媒-水間の分配係数のみを予定していたが、実験を進める過程で脂質膜透過速度測定が必要であったため、これを検討項目として追加した。また、実験を効率よく進めるため、各薬物の消化管吸収性の測定(ラット小腸を用いたin situ 一回潅流法)を同時に進めた。したがって、当初の計画とは若干順序が異なったものの、まずはアニオン型薬物について上述の結果を得、論文発表に至った。カチオン型、両性イオン型薬物については、現在検討を進めている。これからの研究遂行上の問題点としては、細胞レベルあるいは組織レベルにおける膜電位・膜表面電荷の測定法(評価表)をいかにして確立するかが挙げられる。
|