1995 Fiscal Year Annual Research Report
高血圧症に対する薬物治療の生涯医療費とその経済評価に関する研究
Project/Area Number |
07457552
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (B)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
濃沼 信夫 東北大学, 医学部, 教授 (60134095)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長井 吉清 東北大学, 医学部, 助手 (30155907)
今井 潤 東北大学, 医学部, 講師 (40133946)
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Keywords | 高血圧 / 累積医療費 / 経済分析 / 患者の満足度 |
Research Abstract |
[目的]本研究は、長期通院治療を続けている患者の行動意識、薬物治療の累積医療費を把握することにより、質の高い効率的な高血圧対策を推進するための基礎試料をうる。 [方法]地域中核病院における高血圧患者の過去16年間の臨床経過を追跡し、治療の経過や転帰から症例の類型化を試み、高血圧治療の社会経済面の課題を検討した。すなわち、通院を継続する325症例と通院をやめた255症例を対象に、診療録、レセプト、アンケート調査により、累積医療費の算出、通院中断患者の意識分析などを実施した。 [結果]高血圧症307症例の経過は、治療群と未治療群(Drug free、IV群)に大別され、治療群はUn-controlled(I群),Insufficiently controlled群(II群),Well controlled群(III群)に類型化できる。降圧剤の品目数は105種であり、降圧剤だけの医療費は、I群では1日当たり301円、平均6年1か月の服薬期間で総額は81.4万円、III群では各201円、3年9か月、24.3万円である。最も多い経過であるIII群で考えると、降圧剤の医療費は患者1人年間6.5万円となり、降圧剤だけで3440億円が支出されていることになる。 通院をやめた255症例の追跡の回答率は57.5%、回答群107例の内訳は、男55例、女52例、平均年齢58±12歳である。回答群106例の内訳は、III群22例、III群の脱落42例、IV群27例、IV群の脱落27例であり、患者の都合による中断群69例、担当医の紹介による転院群37例である。服薬に関する不満・不安を訴えるのは、中断群で26%、転院群で30%である。服薬の不満・不安で特に多いのが、薬を長くのみ続けることによる副作用の不安と、薬を一生のみ続けなければならない辛さである。医療側への希望や不満は、中断群22%、転院群20%であり、外来の待ち時間が長い、通院が面倒、もっと長期間薬を出してほしい、治療や薬についての主治医の説明が不十分などの意見が少なくない。
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Research Products
(2 results)