Research Abstract |
本研究は,1978年にW.H.Wolfらによって開発されたMISS(Medical Interview Satisfaction Scale)が診察に対する患者の満足度を測定するための標準的な手法としてわが国でも適用可能か否かを検討することを目的として行った(MISSは,認知領域9項目,情動領域9項目,行動領域8項目の計26項目で構成された質問に,5段階のリッカート尺度で回答する質問紙調査である)。 研究の結果,まずMISSの信頼性については,全項目の合計点のα信頼性係数は0.95,領域ごとの合計点のα信頼性係数も0.80以上であり,内部一貫性はあるものと診断された。また,妥当性については,診察に対する全体的な満足度を基準として,相関係数を算出して基準関連妥当性を検討したが,診察に対する全体的な満足度と領域ごとの合計点,全項目の合計点との相関係数は,いずれも0.65以上と有意に高く,基準関連妥当性はあるものと判断された。これらの結果から,MISSは,診察に対する患者の満足度を測定するための手法として,わが国でも適用可能であることが検証された。 次に,この結果に基づいて,診察に対する患者の満足度は,患者の性・年齢,診察を担当した医師,医療施設などの要因によって差異があるか否かについて一元配置の分散分析を行って検討した。その結果,患者の性,診察を担当した医師による差異は認められなかったが,患者の年齢については,情動領域の項目の合計点に有意な差が認められた。なお,医療施設間の差異については,調査がまだ完了していないため,結果は後日報告の予定である。
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