1997 Fiscal Year Annual Research Report
動脈硬化症の初期病変における細胞接着分子の意義とその発現メカニズムの解明
Project/Area Number |
07457562
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
岡田 正彦 新潟大学, 医学部, 教授 (30018915)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲野 浩一 新潟大学, 医学部・附属病院, 助手 (10262445)
三井田 孝 新潟大学, 医学部・附属病院, 講師 (80260545)
松戸 隆之 新潟大学, 医学部, 助教授 (80209577)
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Keywords | 予防医学 / 動脈硬化症 / 血管内皮細胞 / マクロファージ / 細胞接着分子 / 細胞内情報伝達 / 酸化LDL / ダイトカイン |
Research Abstract |
過去2年間の研究から、(1)酸化LDL、糖化LDL、IgG結合型LDL、低酸素血症が内皮細胞にELAM-1を発現させること、(2)それに触れたマクロファージがTNFαを分泌し内皮細胞にVCAM-1を発現させること、(3)同時に接触自体が刺激となって内皮細胞上のICAM-1を接着準備状態に変化させること、などを明らかにした。なお動脈硬化症に固有の現象として、さらに未知の接着分子または機構の存在も考えられた。そこで研究最終年の平成9年度は、ディファレンシャルディスプレイハイブリダイゼーション法(DD法)を用い、内皮細胞におけるmRNAレベルの検索を重点的に行った。内皮細胞はヒト大動脈由来のものを用い、常法に従って作成した酸化LDLを0、30、60、90、240分作用させた。DD法は得られた全RNAを鋳型にし、3種類のアンカープライマーにおいてcDNAの合成を行った。ついで、このcDNAを鋳型にし、16種類の任意プライマーおよびそれぞれのアンカープライマーとの組み合わせでPCRを行った。増幅産物は非変性7%ポリアクリアミドゲル電気泳動法で分離後、蛍光染色法にて解析した。その結果、反応時間に依存して発現量の変化するバンドが22種類、認められた。いずれも酸化LDLの作用後30分と60分のそれぞれで現れ一過性に消失した。その分子量は約400-1,200であった。これら遺伝子産物は、動脈硬化症の初期病変形成に何らかの役割を担っている可能性が考えられた。その詳細な解析については、将来の課題として新たな戦略の下に取り組みたいと考えている。
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[Publications] 岡田正彦: "細胞接着分子の発現に着目した動脈硬化症の促進因子について" 新潟医学会雑誌. Vol.110 No.6. 213-215 (1996)
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[Publications] Takashi Miida: "Development of coronary atherosclerosis in asymptomatic heterozyqous patients with familial hypercholesterlem" Journal of Cardiology. Vol.28 No.2. 71-77 (1996)
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[Publications] Takashi Miida: "LpA-I levels do not reflect pre β1 - HDL levels in human plasma" Atherosclerosis. Vol.133. 221-226 (1997)
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[Publications] Masahiko Okada: "Oxidation of LDL cholesterol" Annals of Clinical Biochemistry. in press (1997)
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[Publications] 岡田正彦: "遺伝子、タンパク、細胞の情報処理機能" 医療情報学. Vol.17 No.3. 385-394 (1997)