1996 Fiscal Year Annual Research Report
Lp(a)の急性相反応物質としての役割及び血管内皮・平滑筋細胞への作用について
Project/Area Number |
07457563
|
Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
野間 昭夫 岐阜大学, 医学部, 教授 (30208384)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斉藤 邦明 岐阜大学, 医学部, 助手 (80262765)
下川 邦泰 岐阜大学, 医学部, 助教授 (70021376)
|
Keywords | リポ蛋白(a) / 急性相反応 / 免疫組織化学 / 組織修復 / 血管内皮細胞 / 遊走及び増殖 / 血管新生 |
Research Abstract |
リポ蛋白(a)〔Lp(a)〕が心筋梗塞や外科手術などの急性侵襲後に急性相反応による一過性の上昇を認めることは当教室から最初に報告されたことであるが、その後多くの追試によって現在では世界的に認められるようになってきている。しかし、この現象の意義に関しては全く不明であるので、この解明のために本研究は企画され、実施されたものである。 昨年度は免疫組織化学的研究によって、創傷組織において抗アポ(a)抗体によって染色されるものの蓄積を認め、、且つフィブリノーゲン、プラスミノーゲン、プロテオグリカン、PCNAなどとの関連性を検討し、さらに種々の創傷治癒過程の組織を用いた染色像から、Lp(a)が損傷組織の修復機序に関与することを報告した。 本年度は上記の生理的機能に関する検討の延長として、培養血管内皮細胞を用いたin vitroの実験において、Lp(a)が内皮細胞の遊走及び増殖を濃度依存性及び時間依存性に促進させることを確認した。その機序としては、一部はbFGFのオートクライン作用を介するものであることを証明した。さらに、LDLとHDLもともに検討し、これらのリポ蛋白による血管内皮細胞の遊走・増殖促進活性の強弱を比較し、これらのリポ蛋白の促進作用の機序も同様に検討し、Lp(a)のそれと比較した。これらのデータよりLp(a)は血管新生促進作用を有することが明らかとなり、上記の損傷組織の修復機序への関与の裏付けとなるものである。 なお、血管中膜平滑筋細胞に対するLp(a)の影響については、若干のデータは得られているが、現在なお検討中である。
|
-
[Publications] 野間昭夫: "生体の急性相反応蛋白の分子生物学:Lipoprotein(a),Lp(a)" 動脈硬化. 24(7,8). 369-374 (1996)
-
[Publications] Y.Yano et al: "Immunolocalization of lipoprotein(a)in wounded tissues." J.Histochem.Cytochem.45(1)印刷中. (1997)
-
[Publications] 矢野容子: "血管内皮細胞の遊走および増殖に及ぼすリポ蛋白(a)、低比重および高比重リポ蛋白の影響に関する研究" 岐阜大学医学部紀要. 45(2)印刷中. (1997)
-
[Publications] 野間昭夫: "リポ蛋白(a)のすべて" 中外医学社, 278ページ (1996)