1997 Fiscal Year Annual Research Report
ドーパミンを用いる腎機能検査法の開発と臨床検査への実用化
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07457564
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
吉村 学 京都府立医科大学, 医学部, 教授 (40094453)
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Keywords | 尿中ドーパミン / 近位尿細管 / 尿細管障害 / 腎機能検査 / 臨床検査 / ファンコニ症候群 |
Research Abstract |
腎近位尿細管細胞由来のドーパミンは尿中に放出されることから、尿中ドーパミン濃度を測定して腎近位尿細管機能と他の腎機能検査法と比較検討し、尿中ドーパミン(遊離型)を用いる検査法の実用化を試みた。随時尿中遊離型ドーパミン濃度(クレアチニン濃度で補正)はクレアチニン・クリアランス、尿中α_1マイクログロブリン濃度、尿中β_2マイクログロブリン濃度、尿中NAG濃度と相関することを立証し、ROC解析によりドーパミンはα_1とβ_2マイクログロブリン、NAGよりも腎機能評価の特異性、感度ともに優れていること示した。疾患別の検討では,主として糸球体障害の腎炎では尿中ドーパミンの濃度は基準範囲内であり、尿細管障害を伴う腎不全では著明に低下し、尿細管障害を呈するFanconi症候群、尿細管性アシドーシスでは低下傾向を示した。したがって、ドーパミンを用いる腎機能検査法は有用と考えられる。 腎移植した患者における検討では、移植直後より低値を示した尿中ドーパミン量が高値となり、移植された腎臓が機能している事を立証した。これら移植患者の長期観察例に於いては、血中クレアチニン濃度、尿中α_1マイクログロブリン濃度、β_2マイクログロブリン濃度の動態と類似し、腎機能評価に於いても有用と考えられた。更に、尿沈渣の円柱陽性患者群に於いて、尿中ドーパミン量が低下した。以上の所見より、尿中遊離型ドーパミン濃度測定法は腎機能検査法として使用可能と考えられる。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Yoshimura, M, et al: "Diagnostic significance of dopamine estimation using plasma and urine patients with adrenal and renal insufficiency,renal trasplantation and hypertension." Hypertens.Res.18(suppl 1). S87-S92 (1995)
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[Publications] Yoshimura,M,et al.: "Urinary excretion of free dopamine and digoxinlike substances correlates with endogeneous secretion of insulin in normotensive adults,but not in hypertensive subjects." Hypertens.Res.18(suppl 1). S191-S192 (1995)
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[Publications] 吉村 学、他: "腎移植における血中・尿中の遊離型ドーパミン濃度測定の臨床的有用性." 臨床病理. 44. 477-482 (1996)
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[Publications] 吉村 学、他: "腎機能検査としての尿中遊離型ドーパミン濃度測定の臨床的有用性." 臨床病理. 44. 477-482 (1996)
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[Publications] 吉村 学、他: "腎機能検査の指標としての尿中遊離型ドーパミン測定と他法との比較." 臨床病理. 45. 679-684 (1997)
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[Publications] Yoshimura,M.et al.: "Dopamine stimualtion of cardiac β-adrenoceptors:the involvement of sympathetic amine transporters and the effect of SKF38393" British Journal of Pharmacology. 122. 1669-1678 (1997)