1995 Fiscal Year Annual Research Report
痴呆性老人の初期症状に対するケアの開発に関する帰納的研究
Project/Area Number |
07457572
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (B)
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Research Institution | Okayama Prefectural University |
Principal Investigator |
渡辺 文子 岡山県立大学, 保健福祉学部・看護学科, 教授 (60141230)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 美延里 岡山県立大学, 保健福祉学部・看護学科, 助手 (00264903)
掛本 知里 岡山県立大学, 保健福祉学部・看護学科, 助手 (60254562)
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Keywords | 痴呆性老人 / 初期症状 / デイサービス事業 |
Research Abstract |
痴呆性老人が初期段階で診断治療に結びつきにくい背景には、痴呆がポピュラーな疾患であるにも関わらず周囲に正しく認識されていないために誤解が生じやすいことや、初期の段階で気軽に利用できる相談窓口や専門外来などのサポートシステムが確立されていない状況がある。痴呆の初期段階での看護の役割においては、痴呆性老人本人のみならず、家族を含む介護者に対するアプローチが重要である。しかし、初期症状に対する治療やケアは現在の所、確立されていない。このような現状をふまえ、本研究の目的は痴呆性老人の初期段階の実態を明らかにし、その結果に基づいてケア技術を開発すること、さらにはケア技術を実際に適用し、その成果をふまえて初期の痴呆性老人に対するケアの方法論を体系化することにある。 その中で本年度は、予備的な調査として痴呆性老人の初期段階の問題行動を把握することを目的として参加観察の手法を用いて質的な研究を行った。今回の研究の研究対象は、Sデイサービスセンターに通所している高齢者のうち、痴呆の初期症状を示していると疑われる男性7名、女性1名の計8名を選択しており調査者がその行動特性を観察し、その結果を内容分析の手法を用いて構造化した。参加観察をした結果として、初期段階の痴呆性老人の行動は以下の9つの行動-(1)基本的日常動作レベル以上の行動が困難(2)仕事を完遂できない、(3)基本的日常動作に時間がかかる・完全にできない(日常活動能力の鈍化)、(4)清潔の保持ができない、(5)物忘れ(記憶障害)、(6)対人関係の特徴、(7)不自然な言動、(8)コミュニケーション上の特徴、(9)自発性・生気の低下-にカテゴリー化された。 今後、本研究を継続し、本年度の調査の結果から構造化された初期の痴呆性老人の行動特性の妥当性を高めると共に、これらの行動に対するケアを検討していく。
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