1995 Fiscal Year Annual Research Report
熱産生器官・褐色脂肪組織機能のアルギニン-一酸化窒素系を中心とした調節機構の解明
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07457577
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (B)
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
黒島 晨汎 旭川医科大学, 医学部, 教授 (90002774)
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Keywords | 褐色脂肪組織 / 血流量 / ノルアドレナリン / 一酸化窒素 |
Research Abstract |
1.ラット肩甲骨間褐色脂肪組織(BAT)の血流量および温度の、その主要調節因子ノルアドレナリンによる上昇が、一酸化窒素(NO)合成酵素阻害剤L-ω-nitro-arginine methyl ester (L-NAME)によって抑制されることを確認した。 2.急性寒冷暴露(25℃から10℃)はBATの血流量を増加させた。この増加はL-NAMEにより用量依存的に抑制された。この結果は生理的刺激によるBATの血流量増加にNOの関与することを示しており、ノルアドレナリン以外のグルカゴンなどのBAT血流量増大作用にもNOが情報伝達分子として関係していることを示唆する。 3.BATの主要調節因子ノルアドレナリンの受容体特性を検討した。BATの血流量、熱産生上昇(温度上昇)が主にβ受容体を介するものであり、α_1受容体が補足的、促進的に働くことが示された。 4.さらにα_1作動物質はBATの血流量に影響せず、温度のみを上昇させた。またBATの脂肪分解と熱産生に特異的に作用するβ_3受容体作動物質は温度上昇とともに血流量の増大をもたらした。これらのα_1,β_3作用はL-NAMEによって抑制された。この結果は内皮由来血管拡張因子NOがBATの血流量の増大のみならず、BATの代謝活性、すなわち熱産生にも直接的に関与することを推測させるものである。 5.L-NAMEの飲料水による慢性投与はBATのDNAの減少と、ノルアドレナリンに対するin vivoおよびin vitro熱産生を抑制することが示された。この結果はさらにNOがcGMP系を介して熱産生組織の組織増殖にも関与する可能性を示すものである。 今後BATにおけるNOの意義を非接触性血流量計により局所レベルで検討するとともに、BATの中枢性調節におけるNOの役割を明らかにしたい。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Kuroshima,A.: "Messenger molecule nitric oxide (NO) in cold-with special reference to brown adipose tissue." The Sceond Joint Meeting of the Physiological Societies of Japan and UK and Fire. 317 (1995)
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[Publications] 黒島晨汎: "温度適応と熱産生:特に非ふるえ熱産生の調節機構" 日本臨床麻酔学雑誌. 15. 437-443 (1995)
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[Publications] Iwamoto,J.: "Histochemical identification of nitric oxide synthase in brown adipose tissue of the rat." Japanese Journal of Physiology. 45(Suppl.1). S261 (1995)
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[Publications] Nagashima,T.: "Effect of a calcium antagonist and adrenergic agonists on blood flow in brown adipose tissue in rats." Japanese Journal of Physiology. 45(Suppl.1). S261 (1995)
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[Publications] 長嶋知明: "褐色脂肪組織機能調節における各種アドレナリン作動薬と一酸化窒素の関与" 日本生気象学雑誌. 32. (1995)
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[Publications] Kuroshima,A.: "Involvement of nitric oxide in the regulation of brown adipose tissue,a thermogenic organ during cold acclimation" IV World Congress of Adaptive Medicine Abstracts. 113 (1995)