1996 Fiscal Year Annual Research Report
脂質過酸化によるCキナーゼ活性化の機序と意義-Cキナーゼによる微細管構築(重合)障害と関連して-
Project/Area Number |
07457587
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Research Institution | Tokai university |
Principal Investigator |
渡辺 慶一 東海大学, 医学部, 教授 (00055865)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 順寛 東京大学, 先端化学技術研究センター, 助教授 (60134475)
佐藤 慎吉 東海大学, 医学部, 講師 (80119677)
竹腰 進 東海大学, 医学部, 助手 (70216878)
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Keywords | Cキナーゼ(PKC) / diacylglycerol(DAG) / Oxidized diacylglycerol(DAG-OOH) / ホルボールエステル(PMA) / 培養神経細胞 / 微細管異常 / tau / map-2 |
Research Abstract |
酸素ラジカルを含む種々のラジカル攻撃により、細胞の膜脂質に過酸化を生じ、色々な程度の細胞傷害がもたらされる事は衆知の事実である。然し、ある特定の物質(脂質)の過酸化物が、特定の細胞(代謝)反応系を傷害するかについては未だ実証されていない。そこで我々は、色々なlipid mediators、中でもdiacylglycerol(DAG)によって特色のある活性化が起こる事で知られるCキナーゼ(PKC)情報伝達系に注目した。先ず、我々はDNG及びその過酸化物(DAG-OOH)を大豆のphosphatidylcholine(PC)より作製した。これらをラット脳より部分精製して得たPKCに作用させ、その活性化作用を観察した。その結果、DAG-OOHはDNGの3倍位の強い活性化を示し、それはPKCに対し特色のある最強の活性化を示す事で知られるホルボールエステル(PMA)とほぼ同等のものであった。このDAG-OOHの活性化作用の生物学的特性を検証するため、人工的な1,3-DAG-OOH(自然のものは1,2-DAG)を用いたが、これには活性化作用は認められなかった。また、用いた大豆のDAGは1,2-dilinolein(LL-DAG)であるが、動物細胞により普遍的に存在するP(palmitate),L(linoleate)-DAG或いはP,A(arachidonate)-DAGを作製して用いたが、少なくともPL-DAG-OOHには同等の強いPKC活性化作用が認められた。 一方、ひとや動物の培養神経細胞で、PMAによって強制活性化されたPKCの作用により過燐酸化されたmicrotubules associated proteins (tau,map-2)によりmicrotubules(微細管)の異常→neurofibrillary tangles発生を見ることが知られている。我々は、ラット初代培養神経細胞及びNGFにより(神経)分化誘導を受けたPC12細胞にPMA,DAG,DAG-OOHなどを作用させ、それらの変動を観察した。その結果、PMA,DAG-OOHを作用させた細胞群には微細管異常によると思われる細胞の形態異常(殊に突起の変態)が認められた。PMAは完全に人工産物であり、生物学的なDAG-OOHにその作用がに見出されたのは意義がある。
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