1997 Fiscal Year Annual Research Report
スフェロイドを用いた人工肝補助装置の肝不全ブタでの肝機能補助効果に関する研究
Project/Area Number |
07457595
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
小出 典男 岡山大学, 医学部・附属病院, 講師 (20142333)
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Keywords | スフェロイド / 人工肝臓 / 循環培養 / 肝不全 / アンモニア除去 / ブタ |
Research Abstract |
(1)Spheroid形成法の改良 : 本年度は合成プロテオグリカン(CS-PE)を多層平板polystyreneに塗布し、これに肝細胞を接種する方法でspheroidを形成させた以外に、CS-PEをコーテイングしたポリウレタン小片や不織布の小腔または線維間隙に遊離肝細胞を導入してspheroidを形成させる試みを行った。後2者の方法でもspheroidは形成されるが、収量が悪く大量の細胞の処理には適さないことが判明した。 (2)人工肝補助装置のbioreactorの改良 : Bioreactor槽としては、ポリウレタン小片や不織布をhollow fiber 外間隙に導入してから細胞を導入する方法に比べて、hollow fiber外間隙に平板polystyrene上で形成させたspheroidを充填した血漿分離カートリッジの方がspheroid機能を発揮させるのに適していた。 (3)人工肝補助装置の肝機能補助効果の検討 : 平成8年度研究で作成した回路環境を自動制御できる閉鎖循環装置に加えて、今年度で新たに導入した鈴木商館製・BioPro-SX(回路環境自動制御装置を有する高密度連続培養システム)に上記(2)のbioreactorを挿入してin vitroでの肝機能評価を行った。またportacaval shunt術で作成した実験的肝不全ブタの頚静脈-鼠径静脈シャントにもこれらの装置を接続してin vivoでの性能評価を行った。in vitro評価では蛋白合成、アンモニアの除去効果、およびアミノ酸組成の改善が見られたが、肝不全ブタを用いたin vivo評価では生存率改善は得られなかったものの、血中アンモニアの上昇抑制と生存時間の延長が認められた。肝不全患者への応用には至らなかったが、さらに装置の改善に努めてspheroidの有する高機能が発揮できる装置の開発を継続したいと考えている。
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[Publications] Shinji T,Koide N,et al: "Reciprocal gene expression of rat fibroglycan and β-actin during the course of regeneration after D-galactosamine liver injury." Hepato-Gastroenterology. 44・4. 239-244 (1997)
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[Publications] 小出典男、辻孝夫: "肝細胞スフェロイドをバイオリアクターとするハイブリッド型人工肝臓の開発" 「肝臓」. 38・4. 280-284 (1997)
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[Publications] 小出典男: "人工肝に必要な機能" 組織培養工学. 23・8. 284-287 (1997)
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[Publications] Oka T,Koide N,et al.: "Transient appearance of perisinusoidal chondroitin sulfate proteoglycans associated with enhanced expression of biglycan gene during D-galactosamine-induced acute liver injury in rats." Hepatology Research. 8・6. 164-175 (1997)
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[Publications] Song X-J,Muramatsu H,et al: "The serum level of midkine,a heparin-biding growth factor,as a tumor marker." Biomedical Research. 8・5. 375-381 (1997)
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[Publications] Endo C,Kusachi S,et al: "Time-dependent increase in sydecan-1 and fibroglycan messenger RNA expression in the infarct zone after experimentally induced myocardial infarction in rats." Coronary Artery Disease. 8・2. 155-161 (1997)
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[Publications] 小出典男、辻孝夫: "肝臓病学の最前線1997" 肝細胞スフェロイドをバイオリアクターとするハイブリッド型人工肝臓の開発, 409 (1997)