1995 Fiscal Year Annual Research Report
虚血部に血管壁より側副血行路が形成される冠動脈バイパス術用小口径代用血管の開発
Project/Area Number |
07457602
|
Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (B)
|
Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
遠藤 真弘 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (20075302)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
富澤 康子 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (00159047)
|
Keywords | 虚血性心疾患 / bFGF / 代用血管 / 人工血管 / サイトカイン / グラフト / 冠動脈バイパス術 / 側副血行 |
Research Abstract |
現在材料として皮下脂肪、骨髄を、また基礎構造として布製人工血管及びPTFE人工血管を用いている。その成果は日本心臓血管外科学会(1995年横浜)、日本循環器学会(1995年名古屋)、アメリカ人工臓器学会(1995年シカゴ)等で発表した。また現在の雑種成犬における皮下植え込み実験及び腹部大動脈置換術におけるbFGFについては日本人工臓器(1995年大阪)で発表し、アメリカバイオマテリアル学会(1996年トロント)にて発表予定である。現在、大動脈置換の実験が順調に進んでいる。新たに得られた知見としては幾つかあるが、1。材料の皮下脂肪及び骨髄は豊富に得られる。2。材料として大網は血管腫を短期間に作りやすいので優れない。3。布製人工血管は製造会社によって残留薬剤(編み機の油が怪しい)の影響が多いので前処理が必要である。4。布製人工血管のポロシテフィは市販のものでは高いものが望ましい。5。抗血栓性の賦与方法としてはヘパリンで動脈系においては内皮細胞がはるまでで十分である。しかし小口径においては残留ヘパリン濃度を上げる必要がある。6。動脈系においては内膜肥厚は半年まで起こっていない。 現在のところ、作成した人工血管は植え込み後に血液の漏れはなく、3日目からbFGFが良好に染色され、5日目には内皮細胞が管腔を作成し、人工血管内面まで到達し、7日目には人工血管内側面の全層が基質化し治癒は良好である。動脈系において、直径4mmといった小口径においても長期に内膜肥厚をおこさず開存していることから、研究テーマである"虚血部に血管壁より側副血行路が形成される冠動脈バイパス術用小口径代用血管の開発"として上げた目標の内、冠動脈部分のみ達成されていないのみで1年目を終了した。研究遂行上に生じた学術上の問題点としては冠動脈部位への人工血管の植え込みが断端のほつれのために困難な点である。
|