1996 Fiscal Year Annual Research Report
細胞培養並びに生化学的分析手法を用いた創傷治癒過程の基礎的研究
Project/Area Number |
07457603
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山田 敦 東北大学, 医学部・付属病院, 助教授 (60107662)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
朝戸 裕貴 東京大学, 医学部, 講師 (20222581)
平野 哲 東北大学, 医学部・附属病院, 助手 (80280882)
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Keywords | アデノウイルスベクター / 口腔粘膜上皮細胞 / セラミド / 三次元培養 / 皮膚乳頭腫 |
Research Abstract |
(1)表皮角化細胞への非増殖型アデノウイルスベクターによる遺伝子導入とその皮膚モデルの作成 CAGプロモータ下流にLac-Z遺伝子を挿入した非増殖型アデノウイルスベクターを用いて表皮角化細胞に遺伝子を導入した。 結果:単層培養中の表皮角化細胞に感染させ4日後にX-Galで染色したところほぼ100%の細胞が青く染色された。この細胞を用いて三次元培養を行ったところ、形成した表皮層全層で導入遺伝子の発現が確認された。モデル作成の簡便性、ヒトの細胞を使用することができる利点から、皮膚の遺伝子レベルでの解析方法として重要性を持つと思われる。 (2)口腔粘膜上皮細胞を培養法の確立 口腔粘膜全層の分散細胞を培養することにより上皮細胞シートの形成が可能であった。線維芽細胞の増殖を抑制する目的で細胞播種時より上皮成長因子(EGF)を添加した培地を使用した。これにより線維芽細胞自身の増殖性は低く、feeder layer類似の効果が得られた。 さらに、作成した上皮細胞シートの重層化及び強度を得る目的でフィブリン接着剤を塗布し検討した。フィブリン接着剤未使用例では単層構造で扁平細胞のみ観られたが、フィブリン接着剤使用例では2〜3層の重層化を認め立方形の細胞も観られた。また。抗サイトケラチン抗体の染色により、フィブリン接着剤使用例では上皮細胞の分化発現が示唆された。 (3)TPAによって発癌誘導されたマウス皮膚乳頭腫のセラミド分子種の検討 皮膚乳頭種では基底層の重層化、脱核の遅延などのapotosisの阻害が認められるが、表皮細胞の分化マーカーの一つであるセラミドの分子腫変化を検討したところ、正常皮膚と比較して脂肪酸の水酸化が亢進していることが示唆された。これらのセラミドの分析により皮膚の調節因子としてのセラミドの役割がより明確になるものと思われる。
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Research Products
(1 results)