1995 Fiscal Year Annual Research Report
本態性高血圧の成因物質と考えられる内因性ジキタリス様物質の構造解析
Project/Area Number |
07457618
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (B)
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
伊藤 啓 北里大学, 医療衛生学部, 教授 (10104564)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小川 善資 北里大学, 医療衛生学部, 講師 (50152385)
猿田 享男 慶応大学, 医学部, 教授 (70051571)
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Keywords | 本態性高血圧 / ジギタリス様物質 |
Research Abstract |
本態性高血圧患者尿約200リットルから、超大型カラム(500φmm、1,000mm ODSカラム)を用いた高速液体クロマトグラフィと、分取型大型カラム(21.5φmm、300mmアミドカラム)を組み合わせ、短時間で高精度の目的物を得た。なお、最終的にはもう一段、エンドキャップ処理されたODSカラム(7.8φmm、300mm)にて精製した。 精製されたこの分画が、(1)Na・K ATPaseの阻害活性(2)抗ジキタリス抗体との交差性(3)Na・K ATPaseに対する^3Hウアバインの置換活性(4)分画分子量10,000の透析膜を通過することの4点の性質を有していることを確認した。さらに、この分画物質をダイオネックス社製・糖分析用システムによって糖および糖関連物質であるかどうかの分析を行った。その結果、単糖ではなく、明らかに糖重合体と思われるピークを得ることができた。 糖のみの重合体であるとすれば、何種類の糖の重合体であるのか。糖鎖を有するペプチドとの重合体であるかのを区別するため、酸水解後、もう一度糖分析システムにて測定を行うと、重合体のシグナルは消失し、単糖と思われるリテンションタイムに数種のシグナルを得ることができた。さらに、アミノ酸を吸着するイオン交換樹脂カラムを通過させた後にもう一度糖分析システムにて検出すると、1種を除いて全てのシグナルは消失した。このことは目的物質が糖鎖を有するペプチドであることを強く示唆しており、糖も、1種類の糖しか結合していない可能性を示しているものと思われる。 現段階では、目的物質と考えられる様々な性質を有し、しかも糖鎖を有するペプチド画分をヒト尿中より精製し、この興味深い分画の精製を重ね、今後さらに詳細な化学的性質と、生理活性を調べる予定である。
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