1995 Fiscal Year Annual Research Report
水車出願文書・水力発電出願文書の網羅的検索とその歴史地理学的考証
Project/Area Number |
07458021
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (B)
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
末尾 至行 関西大学, 文学部, 教授 (80067462)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平岡 昭利 長崎県立大学, 経済学部, 教授 (90106013)
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Keywords | 水車出願文書 / 水力発電出願文書 |
Research Abstract |
1 平成7年度は石川県庁,福井県庁,富山県公文書館,新潟県立文書館,埼玉県立文書館,神奈川県立公文書館,佐賀県立図書館,宮崎県立図書館を歴訪して,水車出願文書・水力発電出願文書の検索を行なった。主要な知見は以下の通りである。 2 大正3年度の石川県文書の中に,他府県ではその例を見ない灌漑用揚水車の出願文書1点を見出した。 3 埼玉県文書に関しては明治22年度分の中に,明治・大正期に関東・東北の一部地域で流行した舟水車に関する出願文書・図面を発見した。利根川沿いの事例で"水車船"と称しているが,これに関連して陸上の通常の水車は"居水車""地水車"の名称で区別されていたことも判明した。 4 神奈川県文書の閲覧を通じては,水車設置の許認可権が全国一律に府県知事が掌握していた中で,神奈川県では明治37年の県令で一部を郡長に委譲している事実を知った。 5 新潟県文書の中で特に印象づけられたのは,水力電気事業の創成期に水車場を転用して村単位の電化が図られる時代趨勢の中,大正3年,ある村の織物生産組合が組合共同工場の水車で発電事業を興すに当たり,その配電先を村内の組合員の家庭だけに限ろうとした,差別的計画が存在していた事実である。 6 佐賀県に関しては,明治初期の佐賀県全域の精米水車を網羅した「水車一件」文書と,同じく精米・製粉水車出願文書を集めた「諸職業願」を発見した。 7 宮崎県に関しては,南九州に特徴的な骨粉肥料製造水車・製材水車の出願文書,および水力発電出願文書を多数発見した。
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