1997 Fiscal Year Annual Research Report
水系網による河川流量・流速・水温の一般化に関する研究
Project/Area Number |
07458024
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Research Institution | Rissho University |
Principal Investigator |
新井 正 立正大学, 文学部, 教授 (10062811)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 雅功 立正大学, 短期大学部, 教授 (00174631)
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Keywords | 河川 / 水系網 / 流量 / 流速 / 水深 / 水温 / 流下時間 / 地理情報システム |
Research Abstract |
河川流下に伴う水温や水質の分布に関する従来の研究では、1本の流路に沿う変化を対象とするために、複雑な支流の組み合わせからなる水系網における分析は困難であった。本研究では水系網解析プログラムを開発し、これに基づいて流域の水温分布、水質分布の予測を行った。 基礎条件として、流量、流速、水深は水流の次数ごとに一定の値になると仮定した。このために約130地点で流量、平均水深、平均川幅を推定し、これより区間平均流速を算定し、それぞれの次数ごとに水流の要素の標準値を求めた。流速、水深ともに、高次数の河川区間、すなわち下流で大きな値となる。水系解析プログラムで支流の結語関係と区間距離を求め、最終的な計算は一般に使われている表計算ソフトで行った。これは新たなソフトの開発費の節約と同時に、普遍的なソフトの利用を考えたためである。 シミュレーションとしては、各水源から出口までの水塊の到達時間のスペクトル、流域内各地点の水温分布、水質分布の推定を試みた。到達時間は相対化し流域の面積と流路長を消去した形で比較したが、流域の形状係数が小さい場合に分散し、円形の流域で集中する状態を明瞭に表すことができた。水温に関して各支流ごとの上昇度と合流点での流量加重平均を組み込んだ計算を行った。結果として、支流数が多くなるとかなり良好な適合性が現れてくることが示された。水質に関しては、自浄係数と支流の合流による希釈を組み込んだ計算を行った。いずれの場合も完全ではないが、実態に即した結果が得られた。このシステムは非常に簡単であり、水系網における各種の解析に役立つといえる。
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[Publications] 新井正: "東京の水文環境の変化" 地学雑誌. 105巻. 460-474 (1996)
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[Publications] 新井正: "渓流の平均流速・川幅・水温" 日本地理学会講演要旨集. 51号. 320-321 (1997)
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[Publications] 新井正: "長江中流域の水文と三峡計画" 地域研究. 38巻1号. 19-29 (1997)
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[Publications] 新井正: "Characteristics of basin morphology of lakes in Japan" 陸水学雑誌. 58巻. 231-240 (1997)
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[Publications] 新井正: "地理学における場の大きさと相似性" 立正大学人文科学研究所年報. 35号. 1-8 (1998)
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[Publications] 山口雅功: "中之条盆地における湧水の調査結果と予案的報告" 立正大学短期大学部紀要. 40号. 31-40 (1998)
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[Publications] 新井正(朴 鐘官訳): "清文閣(韓国,ソウル市)" 水環境調査の基礎(韓国版), 187 (1997)