1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07458029
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Research Institution | TOKYO INSTITUTE OF TECHNOLOGY |
Principal Investigator |
牟田 博光 東京工業大学, 大学院・社会理工学研究科, 教授 (70090925)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中川 正宣 東京工業大学, 大学院・社会理工学研究科, 教授 (40155685)
楠見 孝 東京工業大学, 大学院・社会理工学研究科, 助教授 (70195444)
松田 稔樹 東京工業大学, 大学院・社会理工学研究科, 助教授 (60173845)
濱野 隆 東京工業大学, 大学院・社会理工学研究科, 助手 (00262288)
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Keywords | 遠隔教育 / 費用効果分析 / 放送大学 / 教育メディア |
Research Abstract |
平成7年度に実施した、電話回線を利用した画像情報の送受信による間隔講義の効果について、詳細な分析を行った。その結果、遠隔講義は通常の対面講義と比較して、いくらか講義に対する評価を下げるものの、講義の方法を工夫することにより、その悪影響を少なくすることができることを明らかにした。費用的にも講師の移動に伴う費用を必要としないことから、利用頻度によっては通常の講義よりも安くあげることがてきる。これらの実験結果から、電話回線の利用による少人数を対称とした遠隔教育は実用的であることが実証された。 今後遠隔講義を実用化していく際には、遠隔教育のマイナス面をできるだけ小さくする工夫が必要である。実験結果からも、質疑応答を組み込むことによって、臨場感を高めること、人数が少人数であれば、VDTを使用し、より鮮明な画面を見せること、あらかじめ資料を配ったり、ビデオを見せれば済むものは前もって学生が受講する部屋に送付しておくこと、などが効果があることが示された。 放送大学卒業者を対象に行った調査結果の詳細な分析も済ませた。放送大学の金銭的効果については、既に大卒資格を有していた人への金銭的効果は小さいものの、大卒資格を有していなかった人への金銭的効果が認められること、しかし、その金銭的効果は、一般の大卒者と同等の人的資本量となるまでには至らないことはすでに明らかになったことであるが、放送大学の方が一般の大学より安価であるところから、この効果を費用と比較した。その結果、入学時にすでに大卒資格を有する者以外の収益率、特に私的収益率はかなり高いことが明らかになった。たとえば、高卒男子の私的収益率は17.3%、高専卒男子は13.2%となる。 非金銭的効果について、職業面の効果と教養面の効果を取り上げ、これを職業指向の動機の強さ、教養指向の動機の強さ、放送授業の評価、対面授業の評価、学習熱心度、実用知識の習得、教養知識の習得、質の高い教育、学習自由度、の構成概念で説明する共分散構造分析モデルを作成し、それぞれの構成概念間の関係、効果に対する寄与を求めた。その結果、効果に対する動機付けの重要性を明らかにした。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Hiromitsu Muta,Reiko Kikuta,Takashi Hamano: "The effectiveness of low-cost tele-lecturing,Innovations in Distance and Open Learning" AAOU Xth Annual Conference Proceedings. 185-192 (1996)
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[Publications] 齋藤貴浩,牟田博光: "放送大学が卒業生に及ぼす効果の測定に関する研究" 大学論集. 25. 169-186 (1996)
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[Publications] 浜野隆,牟田博光,前迫孝憲,菊田怜子: "低コスト遠隔教育の実施と評価" 日本教育工学会大会講演論文集. 12. 141-142 (1996)
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[Publications] 伊藤哲也,齋藤貴浩,牟田博光: "共分散構造分析を用いた放送大学の効果要因分析" 日本教育工学会大会講演論文集. 12. 39-40 (1996)
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[Publications] 齋藤貴浩,牟田博光: "放送大学の収益率" 日本教育工学会大会講演論文集. 12. 41-42 (1996)