1996 Fiscal Year Annual Research Report
動力炉をめざした高融点金属基・高Z・高熱流束材料の耐重照射特性に関する研究
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07458109
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
阿部 勝憲 東北大学, 工学部, 教授 (70005940)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 学 東北大学, 工学部, 助手 (40226006)
長谷川 晃 東北大学, 工学部, 助教授 (80241545)
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Keywords | 高融点金属 / 各融合炉 / 高熱流束機器材料 / 耐中性子照射特性 |
Research Abstract |
本研究においては平成7年、8年の2年間にわたって、高融点金属のモリブデン(Mo)とタングステン(W)について微細組織を制御することにより中性子照射脆化を克服し、実用炉段階における高負荷・重照射条件での使用限界特性に基づく高Z材料の提案を行うことを目的として研究を行ってきた。研究対象合金として、Mo及びTZM合金、Mo-Re合金、W-Re合金を用いた。これらの材料はTi、Zr添加(TZM合金)やRe添加により、溶接性や再結晶後の延性を改善させた合金であるが、中性子重照射後の特性は明かではなかった。MoやWの脆化は非照射の通常環境下でも再結晶化による粒界脆化によって引き起こされることが分かっている。本研究では中性子照射環境下において生ずる脆化に対して、これらの合金添加効果がどの程度有効であり、有効である場合にはそのメカニズムを解明することで、さらに耐照射特性の優れた合金を開発する材料設計指針を提案することを目標とした。 中性子照射材として、米国パシフィックノースウェスト研究所の高速中性子炉FFTFで照射した試料を用いた。照射温度は360°Cから800°Cまでの領域で、最大34dpaまでの照射を行った試料である。これらの微細組織観察と照射後の引3長や曲げ試験により、中性子重照射による延性の低下が、照射前の熱処理に依存し、特に微細結晶粒組織が残る応力除去熱処理によって脆化が抑制できることを見いだした。特に800°C以上の照射温度では、再結晶を抑制する効果のあるRe添加が有効であることが分かったが、Reの添加量によっては照射誘起偏析が顕著におこりその結果として非常に大きな照射硬化が生じて、脆化が起こることも明らかになった。これらのことから、高温照射が予想される動力炉においては、結晶粒界の成長を抑制しかつ照射誘起偏析が少なくなるような、Re添加量を数%前後の領域で最適化したMoまたはW合金の開発が必要であることが示された。
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