1996 Fiscal Year Annual Research Report
積雪中の固体不純物質の動的な組成、光学特性変動の研究
Project/Area Number |
07458119
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
中尾 正義 名古屋大学, 大気水圏科学研究所, 助教授 (90142695)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長田 和雄 名古屋大学, 太陽地球環境研究所, 助手 (80252295)
幸島 司郎 東京工業大学, 理学部, 助教授 (60183802)
|
Keywords | 積雪 / 融解 / 固体不純物 / 光学特性 / 鉱物粒子 / 微生物粒子 |
Research Abstract |
前年度に行った固体粒子のアルビート観測の結果、粒子の雪面上での再配分のために、積雪の融解に連れて積雪のアルベドは増加する、つまり、粒子の動態によって積雪に負のフィードバック効果があることがわかった。今年度は、これらのことを考慮した上で熱収支解析を行い、表面に粒子がある場合にはその表面温度がきわめて敏感に変化することを見いだした。そこで、表面温度を別途観測することにより、表面熱収支、ひいては雪面の融解速度を一般的な気象データのみから推定するモデルを開発した。モデルの予測は観測結果とよく一致しており、このモデルを検討することができた。ただし、生物相不純物の場合には積雪層内の含有イオン等栄養塩の存在によって繁殖現象が生じるが、その繁殖をモデル化するには至らなかったため、上記モデルは鉱物不純物に限られる しかしながら、ネパールヒマラヤのヤラ氷河で生物相不純物の季節変化を詳細に観測した結果、生物種の高度分布に特徴があることがわかり、そのことを利用して氷河のゾーン区分を行うことができたことに加えて、季節変動の特徴から、氷河コアの環境指標としてきわめて有用であることを見いだした。さらに、日本の立山をフィールドとして、含有イオン等の変動を詳細に観測した結果、融解が激しく生じるまでの期間に限れば、これまた環境指標として利用することができることを確認した
|
-
[Publications] K.Seko,Y.Yoshimura,and S.Kohshima: "Problems and possibilities of Asian ice core dating method,including bioglaciological approach." Proceedings of the 1995 Nagoya IGBP-PAGES/PEP-II symposium. 242-247 (1996)
-
[Publications] 瀬古勝基、ビルバル・ラナ: "サロマ湖96観測" 衛星によるオホーツク海氷のプログラムワークショップ報告書. 186-190 (1996)
-
[Publications] Adhikary,S.,K.Seko,M.Nakawo,Y.Ageta and Miyazaki: "Effect of surface dust on snow melt." Bulletin of Glacier Research. 15(in press). (1997)
-
[Publications] Yoshimura,Y.and S.,Kohshima: "A community of show algae on a Himalayan glacier:change of algal biomass and community structure with altitude." Arctic and Alpine Research. 29(in press). (1997)