1996 Fiscal Year Annual Research Report
閉鎖生態系実験装置(ミニ地球)を用いた環境-生命系の動態研究
Project/Area Number |
07458126
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
森山 茂 日本大学, 生産工学部, 教授 (80060044)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高原 光子 日本大学, 生産工学部, 助教授 (50059424)
|
Keywords | 閉鎖生態系 / ガイア実験 / 複雑 / 酸素濃度 / CO_2濃度 / ATP / 地球生命圏 / 気候変化 |
Research Abstract |
生命の創り出す系であるリビング・システムと閉鎖生態系(CES)の動態を研究するため、おもに2号機、3号機を使って、前年度に引き続き、ATP濃度測定、酸素濃度測定、CO2濃度測定、pH測定などを長期間継続した。その間に、系に対する不安定性を調べる実験、開放系と閉鎖系に対する性質の知見を得るための実験を行った。それらの知見は次の通りである。 1.CESはダメ-ジに対しての永続的復元動作をする。CESはその環境の創発と調整に対し、常に力動的に振る舞う。 2.CESは2日、4日、1週間といった短期間暗期設定の突如の擾乱に対し、敏感に酸素濃度などの激減反応を引き起こすが、再度まったく以前の状態に復することが出来る。つまり一時的にまったく別の状態へ遷移するにも関わらず、以前の状態を再現しうるという安定さを示す。 3.CESには固有の振動的動作がある。それゆえ、巨大CESとしての地球にも外因なしでの固有振動が存在することになり、地球の気候変化の解明にそのCES的動態は欠かせない。 4.CESは2.のように極小擾乱に対し、系の性質を突如変更するという、とても不安定な性質がある。 しかし、そのような突如の変動後にも系は破壊されることなく、執拗に元へ戻すという性質を持つ(安定性)。この様な不安定性と安定性の混在がCESに内在する固有の現象である。 以上のことから、CESの動態研究はリビング・システムとしての地球の性質を明かすための重要な研究となる。 見かけの安定さにも関わらず、CESには不安定さが同居している。古生代から中生代、中生代から新生代といった大変換期に海洋に突如、大規模無酸素状態が存在したことが発見されているが、巨大CESとしての地球の、微小擾乱への閉鎖生態系的動態を考えなければならない。
|
Research Products
(1 results)