1996 Fiscal Year Annual Research Report
都市が水環境に与える変異原性負荷と処理効果の影響評価に関する研究
Project/Area Number |
07458131
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
小野 芳朗 岡山大学, 環境理工学部, 助教授 (50152541)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宗宮 功 京都大学, 大学院・工学研究科, 教授 (60025947)
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Keywords | 遺伝毒性 / 発癌性 / ヘテロサイクリックアミン / 都市下水 / リスクアセスメント |
Research Abstract |
平成7年度には、都市が水環境に与える変異原負荷として、ヒトの食品中に存在する発がん性のヘテロサイクリックアミンが、排泄物を通して下水処理場に流入し、それが生物処理で除去されずに処理水中に存在することを明らかとした。またヘテロサイクリックアミンのうち、Trp-P-2を液体クロマトグラフとマススペクトル解析を通して同定できた。 最終年度は、これらの物質が水環境中にどれくらい存在し、そのリスクアセスメントを実施し、定量的な見解を示した。対象として、合流式の都市下水処理場、及びその汚泥処理工程、ヒトの排泄物及び浄化槽汚泥を処理するし尿処理場、さらに放流地先の河川水を、多環芳香族の抽出濃縮法であるブルーレ-ヨン、さらに芳香族アミンに感度が高いumu test NM2009株を用い、抽出された遺伝毒性をHPLC-MSで同定した。その結果、し尿処理場の生物処理水に含まれるTrp-P-2の濃度は、リスクのレベルで、日常の食事中に含まれるリスクとほぼ同程度の発がんの危険率が得られた。つまり、1人1日2リットルの摂取量で、60kgに成人が70年間の摂取を仮定したところ、1万人に1人の発生確率を得られた。都市下水処理場の処理水は、この100分の1の危険率であった。また河川水は、さらに10分の1程度であり、Trp-P-2だけに限れば、河川水から再び浄水工程を経て飲料水となったとしても発がんの危険率は極めて小さいことが定量的に明らかとなった。
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Research Products
(2 results)