1996 Fiscal Year Annual Research Report
原爆線量評価システム(DS86)の見直し-新しい線量に基づく人の放射線影響-
Project/Area Number |
07458132
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
星 正治 広島大学, 原爆放射能医学研究所, 教授 (50099090)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松浦 正明 広島大学, 原爆放射能医学研究所, 助教授 (40173794)
早川 武彦 広島大学, 原爆放射能医学研究所, 教授 (40022834)
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Keywords | 原子爆弾 / 中性子 / DS86 / 放射線量 / 被爆者データベース / ベンチマークテスト / ガンマ線量 / 広島 |
Research Abstract |
広島長崎の原爆被爆者の放射線量評価体系はDosimetry System 1986 (DS86)と呼ばれ1986年に日米の共同研究の結果定められた。DS86は放射線影響研究所で使われ、その後広島大学や長崎大学でもそれをもとにした線量評価体系(ABS93D)が使われている。 DS86が決められてまもなく、我々の研究グループが広島の中性子線量についての疑問を指摘した。現在ではアメリカ側も矛盾が存在することを認めている。 本研究の目的はこれらの矛盾を解決する事にあり、研究としては(1)被爆資料の収集と保管およびその測定、(2)中性子によるシュミレーション実験と計算コードMCNPの計算精度のベンチマークテストによる確認、(3)中性子のMCNPによる透過計算(輸送計算)、(4)原医研の被爆者集団にたいする被爆線量の見積もり、等がある。(1)については広島商業高校(約2km)や、糧秩廠(約3km)などの試料を集めた。まださらに1件ほど収集の必要があると考える。(2)についてはカリフォルニウムからの核分裂中性子を使った実験をもとに精度を検討したが、精度は十分に高く問題は見あたらない。(3)の計算については原爆が割れたと仮定した計算を行っている。広島の近距離では実験データと合わせることは可能であるが、遠距離ではずれが大きすぎてとても計算では考えられない。今後の大きな問題である。(4)については現在作業中である。 また昨年(1996年5月)日米の会議が開かれ、日米の共同研究が再開されることになった。日米の会議では私どもの考えていた内容が認知された。その主な内容を以下に示す。 a)広島の遠距離の被爆資料を集めDS86とのずれが本当かどうか確認する、b)被爆した銅を集め速中性子線の実測を試み、(c)長崎の被爆岩石や鉄試料を集め測定し長崎では合っているのかどうか確認する。
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[Publications] M. Hoshi, G. Voigt, H. G. Paretzke et al.: "Scientific recomendations for the reconstruction of radiaton doses due to the reactor accident at Cernobyl" Radiat. Environ. Biophys.35. 1-9 (1996)
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[Publications] M. Hoshi, M. Matsuura, N. Hayakawa et al.: "Estiation of radiation doses for atomic-bomb survivors in the Hiroshima University registry" Health Physics. 70. 735-740 (1996)
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[Publications] 松浦正明、早川武彦、星正治、他: "ABS93Dによる広島県在住原爆被爆者の胃・肺・乳・結腸癌死亡のリスク評価" 広島医学. 49. 310-313 (1996)
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[Publications] M. Hoshi: "DS86 Dosimetry" Effects of A-bomb radiation of the human body. 368-380 (1996)
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[Publications] S. Endo, M. Hoshi, S. Suga, J. Takada, K. Komatsu: "Determination of the relative neutron sensitivity of a C-co_2 ionization chamber" Phys. Med. Biology. 41. 1037-1043 (1996)
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[Publications] 星 正治、高田 純、遠藤 暁、他: "チェルノブイリ近郊住民のCs-137体内量の測定" 保健物理. 31. 132-141 (1996)
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[Publications] M. Hoshi, J. Takada, T. Oka, K. Iwatani et al.: "A possible explanation for the DS86 discrepancy between the data and calculation in Hiroshima" Nagasaki Symposium Radiation and Human Health.175-191 (1996)
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[Publications] R. Rozenson, 高田 純、星 正治、他: "セミパラチンスク住民における電離放射被爆の発癌におよぼす影響" 広島医学. 49. 299-302 (1996)
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[Publications] J. Takada, M. Hoshi, R. I. Rozenson, et al.: "Environmental Radiation Dose in Semipalatinsk Area near Nuclear Test Site" Health Physics. (in press).
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[Publications] J. Takada, M. Hoshi, S. Endo, M. Yamamoto et al.: "Dosimetry Study of residents near Semipalatisk Nuclear test site" Proc. of RADTEST Beijing Meeting 1996. (in press).