1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07458134
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
松永 勝彦 北海道大学, 水産学部, 教授 (90001619)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
志賀 直信 北海道大学, 水産学部, 講師 (30091466)
久万 健志 北海道大学, 水産学部, 講師 (30205158)
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Keywords | 森林 / 腐植土 / 植物プランクトン / 海藻 / 鉄 / フルボ酸一鉄錯体 |
Research Abstract |
一般に鉄は水和酸化鉄の粒子として自然界に存在しているが、光合成生物(植物プランクトン、海藻)は直接この粒子状の鉄を摂取しているわけではなく、これから溶解したFe(OH)_2^+を取り込んでいる。また水和酸化鉄の溶解度や溶解速度は極めて低く、また遅いため、粒状鉄濃度、即ち全鉄濃度だけの議論は光合成生物にはあまり意味のないことである。一方、腐植土起源のフルボ酸は種々の官能基を有しており、鉄と錯体を形成し、溶存種となる。鉄の酸化数を研究した結果、Fe(II)ではなくFe(III)との錯体であることがわかった。また、室内実験で光還元によってFe(II)は生成するが、フルボ酸鉄(II)錯体は可能だが、不安定でフルボ酸Fe(II)錯体が数時間に亘り存在することはの不可能であることが判明した。河川水中のフルボ酸鉄濃度については斜面にある森林を流れる河川水中では0.6μM,平地の森林地帯では最大3μMであった。また、フルボ酸の還元力は劣化するが、錯体は数ヶ月間安定である。 フルボ酸鉄が海域に流入した場合、フルボ酸がコンブの生長に果たす役割を検討した。遊走子中、受精した卵細胞数の割合を、無定形水和酸化鉄、EDTA-Fe,フルボ酸鉄の各態鉄下(各々0.2μM Fe)で測定した。30日後ではそれぞれ25, 54, 70%であった。なお、鉄を添加しないコントロールは5%であったが、鉄を完全に除去した培地ではないため、5%の卵細胞が生じたものと思われる。鉄濃度が零なら、卵細胞は生成しない。さらに、幼体の成長速度を同様の各態鉄共存下で検討した結果、フルボ酸鉄共存下では無定形水和酸化鉄に比べ50日後で約3倍生長が速いことがわかった。フルボ酸が河口域のコンブの生長に多大の寄与をしていることが判明した。
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[Publications] Kuma, K., Nishioka, J. & Matsunaga, K.: "Controls on iron (II) hydroxide solubility in seawater : The influence of pH and natural organic chelators." Lomnology & Oceannography. 41. 396-407 (1996)
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[Publications] 松永勝彦: "陸と海を結ぶ生態学" 土と基礎(地盤工学会). 45. 1-3 (1997)
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[Publications] 松永勝彦: "森と海をむすぶ(サケの小型化)" グリーン・パワー(森林文化協会). 1号. 34-35 (1996)
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[Publications] 松永勝彦: "森と海をむすぶ(タイの環境)" グリーン・パワー(森林文化協会). 4号. 34-35 (1996)
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[Publications] 和吾郎,川上創,松永勝彦: "森林と沿岸海域の一次生産力との関連について" 日本海水学会講演要旨集. 25- (1996)
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[Publications] 和吾郎,久万健志,松永勝彦: "ホソメコンブによるフルボ酸鉄摂取機構について" 日本水産学会講演要旨集(社). 70 (1996)
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[Publications] 松永勝彦,久万健志,鈴木祥広: "海と海洋汚染" 三共出版, 105 (1996)