1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07458143
|
Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (B)
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
杉山 弘 京都大学, 工学研究科, 助教授 (50183843)
|
Keywords | DNA切断 / 光電子移動 / ブロモウラシル / DNA構造 / 遺伝子治療 / 水素引きぬき |
Research Abstract |
本研究は、我々が見い出した光電子移動を経由したDNA切断反応を核酸の局所構造の解析に利用し、さらには選択的切断反応を利用した遺伝子治療法を開発することを目的とするものである。今年度は、この光反応の機構や反応性について検討を加え以下に示す新たな知見を得た。 1)デオキシボ-ズ2′-カチオンへの1,2-ヒドリド転位の発見 アデニン-ブロモウラシル配列では、アデニンのデオキシリボースで選択的な1′酸化がおき、ヨードウラシルでは、競争的な1′位、2′位の酸化がおきる。また後者の反応においては、酸素濃度依存性が見られ、低酸素下では1′の割合が増加する。2′-ヨードウリジンをモデル化合物として用い、その光反応性を詳細に検討し、デオキシリボース2′位カチオンが生成すると、1′位よりヒドリドが転位することを見い出した。この結果はヨードウラシルをふくむDNAの光反応において1′位酸化生成物の何割かが、直接の1′位水素引き抜きではなく、2′位の水素引き抜きより起こっていることを示唆した。 2)DNA-RNAハイブリッドにおける選択的1′位酸化反応 DNA-RNAハイブリッドにアデニン-ブロモウラシルを組み込みその光反応性を解析した。その結果、反応はA型構造においてB型DNAと対照的に、1′位酸化生成物が選択的に生成した。これはDNA-RNAハイブリッド構造内ではDNA側のリボースが04′endo構造となり、2つの2′位水素がウラシルラジカルから引き抜きにくい角度となったためであると考えられる。 3)GG配列における選択的酸化 ナフタルイミド、リボフラビンなど存在下、DNAを光照射すると5′-GG-3′配列の5′側のGに、アルカリ不安定部位が生成することが知られている。今回ab initioを用いた分子軌道計算により5′-GG-3′配列では顕著にイオン化ポテンシャルが低下し、さらに5′側のGにHOMOが局在化し、この配列からの効率よい励起色素分子への電子移動を説明できることが明らかとなった。
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] 杉山 弘: "Steuospecific 1,2-Hydride Shift in Ribonolactone Formation in the Photoreaction of 2′-Iododeoxyuridine" J. Am. Chem. Soc.117. 2945-2946 (1995)
-
[Publications] 杉山 弘: "Photoinduced DNA leasage via Electron transfer: Pemonetration That Guanine Residues Located 5′to Guanine Are the Most Electron Ponating Sites" J. Am. Chem. Soc.117. 6406-6407 (1995)
-
[Publications] 杉山 弘: "Evidence for Intrastrand Hydrogen Abstraction in Photoinadiation of 5-Halouracil-Containing Oligonucleotides by using Stereoacpecifically C2′-Peuterated Deoxy adenosine" Tetrahedren Letter. 37(印刷中). (1996)