1996 Fiscal Year Annual Research Report
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07458159
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
二井 将光 大阪大学, 産業科学研究所, 教授 (50012646)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡 敏彦 大阪大学, 産業科学研究所, 助手 (40263321)
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Keywords | H^+ATPase / ATP合成酵素 / バフィロマイシン / 液胞型ATPase / 脂溶性カチオン / Fo / F_1 / ATP |
Research Abstract |
ATPを分解するエネルギーと共役してH^+を輸送する膜酵素(H^+-ATPase)、およびH^+の電気化学的ポテンシャル差を駆動力としてATPを合成する膜酵素(ATP合成酵素)は、生物における最も基本的な酵素として細胞機能を支えている。これらの酵素は、共通の性質からプロトン輸送性ATPaseと総括されている。 本研究では、これらプロトン輸送性ATPaseのうちFoF_1型ATPaseと液胞型ATPaseに注目し化学反応機構とH^+輸送の共役機構を、分子レベルで明らかにすることを究極の目的として研究を始めた。ATP合成酵素の活性中心は、主に大腸菌のATP合成酵素を研究対象として系統的な変異導入の研究から、βサブユニットのLys-155、Thr-156、Glu-181、およびArg-182の残基が触媒中心を形成していることを示した。さらに、同じβサブユニットのGlu-185残基がATP合成酵素の協同性のために必須の残基であることを示した。ATP合成酵素の化学反応とH^+輸送とエネルギー共役において主要な役割を担っているのはγサブユニットであることを示した。γサブユニットのアミノ末端側ヘリックスと、カルボキシル末端側ヘリックスに存在する3つの領域が、エネルギー共役において相互作用していることが明らかになった。 ATP合成酵素のH^+輸送路はFoとよばれ、a、b、cの3種のサブユニットがa1b2c10〜12のように複数個づつ集合して作られている。各種の部位に特異的な抗体を作り、これを用いてaサブユニットの構造を解析した。その結果aサブユニットが膜を6回横切っており、アミノ末端とカルボキシル末端がともにF_1側を向いていることを示した。さらに精製したFoを、AFM(原子間力顕微鏡)により観察した。その結果、10ヶのcサブユニットが集合してリング状の構造を作り、その外側にbサブユニットとaサブユニットが位置しているH^+輸送路のモデルを提出した。 各種の脂溶性カチオンのATP合成酵素、液胞型ATPaseに対する効果を調べた。Chloropromazine、QuinacrineMustard、およびDequaliniumはいずれもATP合成酵素と液胞型ATPaseの両方を阻害した。バフィロマイシン類似物質であるコンカナマイシンが液胞型ATPaseを阻害すること、この阻害によってMHCclassII分子による抗原の提示が阻害されることを示した。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] M.Maeda,K.Kubo,T.Nishi and M.Futai: "Roles of gastric GATA DNA-binding proteins." J.Exp.Biol.199. 513-520 (1996)
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[Publications] Y.Moriyama,A.Yamamoto,H.Yamada,Y.Tashiro and M.Futai: "Role of endocrine cells microvesicles in intercellular chemical transduction." Biol.Chem.Hoppe-Seyler. 377. 155-165 (1996)
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[Publications] M.Futai and H.Omote: "Conformational transmission in ATP synthase during catalysis : search for large structural changes." J.Bioenerg.Biomemb.28(5). 409-414 (1996)
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[Publications] K.Takeyasu,H.Omote,A.Iwamoto and M.Futai: "Molecular imaging of Escherichia coli FoF_1-ATPase in reconstituted membranes using atomic force microscopy." FEBS Lett.392. 110-113 (1996)
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[Publications] H.Yamada,Y.Moriyama,M.Maeda and M.Futai: "Transmembrane topology of Escherichia coli H^+-ATPase (ATP synthase) subunit a." FEBS Lett.390. 34-38 (1996)
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[Publications] K.Tomochika,et al.: "Vacuolar H^+-ATPase in mouse bladder epithelium is responsible for urinary acidification." FEBS Lett.404. 61-64 (1997)
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[Publications] M.Futai and H.Omote: "Handbook of Biological Physics" Elsevier Science B.V., 935 (1996)
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[Publications] R.K.Nakamoto and M.Futai: "Biomembranes" JAI Press, 420 (1996)