1995 Fiscal Year Annual Research Report
肝細胞増殖因子のシグナル伝達における新規チロシンリン酸化蛋白質の機能
Project/Area Number |
07458164
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (B)
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
喜多村 直実 東京工業大学, 生命理工学部, 教授 (80107424)
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Keywords | 肝細胞増殖因子 / チロシンリン酸化蛋白質 / Zn-fingerドメイン / 初期エンドソーム / シグナル伝達分子 |
Research Abstract |
肝細胞増殖因子(HGF)は、胎生期の組織形成や障害後の組織再生に機能する増殖因子である。我々は応答細胞をHGFで刺激した時にc-Met受容体を介して強くチロシンリン酸化される分子量115kDaの蛋白を見出した。この蛋白質(p115)を精製し、cDNAクローニングした結果、p115はZn-fingerドメインをもつ新規の蛋白質であることが明らかになった。本研究ではp115の機能を明らかにすることを目的として解析を行い以下の結果を得た。 1 細胞分画法および抗体を用いた免疫染色法により、p115の細胞内分布について解析した結果、p115は細胞質の初期エンドソームに局在することを見出した。いくつかのZn-fingerドメインを持つ蛋白質でエンドソームに局在するものが知られており、これらは小胞輸送に関与すると考えられている。したがってp115も小胞輸送(たとえば増殖因子と受容体の複合体のinternalization)に関与していることが示唆された。 2 HGFで刺激した時のp115のチロシンリン酸化について詳細に検討した結果、p115のリン酸化は刺激後、非常に早い時期に起り、その後速やかに脱リン酸化されることを見出した。したがってp115はHGF刺激後の初期の細胞内シグナル伝達に関与することが明らかになった。 3 p115のチロシンリン酸化は、HGFのみならずEGFやPDGFで刺激した細胞においても見出された。したがってp115は増殖因子刺激に対する共通のシグナル伝達分子であることが明らかになった。 4 p115mRNAの発現についてノザンブロッテイング法により解析したところ、その発現は調べた限りの成熟個体の全ての組織および7日〜17日の胎児で見られた。したがってp115は種々の細胞内で機能する蛋白質であることが示唆された。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] W. Tang: "Hepatocyte growth factor remains as an inactive single chain after partial hepatectomy or unilateral nephrectomy." FEBS Lett.362. 220-224 (1995)
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[Publications] M. Komada: "Growth factor-induced tyrosine phosphorylation of Hrs, a novel 115-kilodalton protein with a structurally conserved putative zinc finger domain." Mol. Cell. Biol.15. 6213-6221 (1995)
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[Publications] K. Miyazawa: "Activation of hepatocyte growth factor in the injured tissues is mediated by hepatocyte growth factor activator." J. Biol. Chem.(in press). (1996)
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[Publications] Y. Uehara: "Hepatocyte Growth Factor/Scatter Factor and the Placenta." Placenta. (in press). (1996)