1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07458176
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
神山 勉 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 教授 (30170210)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡田 哲二 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助手 (10271545)
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Keywords | 生体膜 / 膜蛋白質 / バクテリオロドプシン / ロドプシン / 精製 / 界面活性剤 / 小胞 / 脂質 |
Research Abstract |
蛋白質の結晶構造解析の成功例がいくつか報告されている。しかし、圧倒的多数の膜蛋白質については、安定で高純度・高濃度の標品を得るのが難しいため、結晶化の成功に至るまでには多大な労力を費やすさねばならないのが現状である。当研究課題においては、膜蛋白質の精製の簡略化を目指して、生体膜中で膜蛋白質の凝集を促し、特定の膜蛋白質だけからなる球殻状集合体を形成させ、これを単離する方法を行った。さらに、得られた精製標品を用いて良質の三次元結晶を得ることを試みた。 高度好塩菌に見いだされたバクテリオドプシンは生理的条件で紫膜と呼ばれる二次元結晶を作る。紫膜に少量の界面活性剤(オクチルグルコシド)と結晶析出剤を加えると、不安定のチューブ状構造体とともに50nm径の球殻状集合体ができること、球殻状集合体へ変換効率が最適条件(高温域)で100%近くになること、逆に低温域では球殻状集合体が不安定になることを明らかにした。また、球殻状集合体を互いに融合させてできる平面膜を累積するという方法を開発し、高分解能構造解析に適した三次元結晶(六方晶)を得た。X線回析データから結晶空間群(P622)および格子定数(a=b=103.8Å、c=114.0Å)を求め、結晶の工学的特性等の結果とも併せて、バクテリオドプシン三量体が蜂の巣格子に並んだパッキング構造を明らかにした。 バクテリオドプシンの結晶化で養われた技術を利用して、同じ7回膜貫通型蛋白質であるウシ・ロドプシンの精製・結晶化も試みた。視覚細胞の円盤膜を密度勾配遠心法により精製し、これを界面活性剤(アルキルグルコシド)と高濃度の二価陽イオンで処理して遠心分離を行うという操作だけで、高純度のロドプシン試料を得ることができた。得られた濃厚試料に結晶析出剤を加え、蒸気拡散法により蛋白質を塩斥することにより、三角柱状の結晶を得ることができた
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Research Products
(5 results)
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[Publications] T.Okada: "Structural analyses of biological membrane by atomic force microscopy" Bioimages. 3. 49- (1995)
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[Publications] J.-Y.Wang: "Dispersion state of phospholipids and fluorescence production with peroxidation in organic solvents:investigated by time-resolved fluorescence technique" Biochim.Biophys.Acta. 1236. 228-236 (1995)
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[Publications] J.W.Wang: "Fluorescence polarization study on the dynamics and location of perxidatzed fluorescent phospholipids in liposomes" Arch.Biochem.Biophys.330. 387-394 (1996)
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[Publications] N.D.Denkov: "Nanoparticle arrays in freely suspended vitrified films" Phys.Rev.Lett.76. 2354-2357 (1996)
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[Publications] "膜蛋白質の構造と機能" Membranes. 21. 230-239 (1996)