1996 Fiscal Year Annual Research Report
転写複合体におけるRNAポリメラーゼサブユニットRPB5の役割と転写制御
Project/Area Number |
07458178
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
村上 清史 金沢大学, がん研究所, 教授 (90019878)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野村 孝弘 金沢大学, がん研究所, 助手 (80115261)
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Keywords | RNAポリメラーゼ / RPB5 / B型肝炎ウイルスX蛋白 / トランス活性化 / 転写開始 / 転写開始因子TFIIB / 転写補助因子 / RPB5-mediating factor |
Research Abstract |
我々は、B型肝炎ウイルスX蛋白に結合する宿主蛋白の検索から、RNAPI,II,IIIに共通するサブユニットであるRPB5をX結合蛋白として単離した。本研究は、両者の相互作用による転写開始機能の修飾を分子機構として解明するために、RPB5の機能標的を探索し、X蛋白の役割を検討し、RPB5の構造と機能の解析を行った。 (1)RPB5は、X蛋白と相互作用をすると共に、転写基本因子TFIIBと特異的に結合することがin vitro及びin vivoで確認された。TFIIBはRPB5と共にHBV X蛋白と特異的に相互作用し、3者の複合体形成がin vitro及びin vivoで確認した。 (2)X蛋白のトランス活性化ドメインの置換変異の解析から、トランス活性化ドメイン内にRPB5及びTFII結合の区別される領域の存在が示され、X蛋白のトランス活性化にはRPB5とTFIIBとの結合が何れも必要であることが示された。3者の複合体形成と3者間結合のXトランス活性化能への効果は、X蛋白は転写開始複合体形成の段階でRNAPとTFIIBの結合を安定化する可能性が示唆された。 (3)人工的な系であるGal4x5CATを用いた検討の結果、HBxはactivated transcription系でco-factor機能を保持していた。X蛋白が機能する段階の検討が今後に残された。 (4)RPB5がX蛋白と相互作用し転写の効率化をもたらす結果は、X蛋白がRPB5と内在性の宿主蛋白との相互作用を排除する可能性がある。この可能性を検討するために、RPB5結合蛋白のcDNA単離をfar-Western法を用いて行い、1種のcDNA(RPB5-mediating-protein:RMP)を単離した。全長cDNAの単離を進めた結果、RMPは新規遺伝子であった(投稿準備中)。予備的結果は、RMPがX蛋白によるトランス活性化に拮抗した。この結果はRMPが抗X遺伝子として機能することを示唆した。RMPが新規のがん抑制遺伝子である可能性もあり、今後の系統的な解析が必要となった。
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Research Products
(15 results)
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[Publications] Cheoy,H.,Yi,Mk.,Lin,Y.,& MURAKAMI,S.: "Human RPB5,a subunit shared by eukaryatic nuclear Polyprerases,binds human hepatitis B virus X protein and may play a role in X transactivation" EMBO J.14. 143-150 (1995)
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[Publications] Morohashi,H.,Miyawaki,T.,Musekasu,S.Matsushita,K.,et al.,: "Expression of both types of human interleukin-8 receptors on mature neutrophils,monoytec and natural killu cells" J.Leukoyte Biol.,. 57. 180-187 (1995)
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[Publications] Nakamoto,Y.,Kaneko,S.,MURAKAMI,S.,et al.,: "B-cell epitopes in by pervariable region 1 of hepatitis C virus obtainece from patients with chsonic persistant hepatitis" J.Med.Virol. 50. 35-41 (1996)
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[Publications] MURAKAMI,S.,Lin,Y.,et al.,: "Human hepatitis B virus X protein is a transciptional modilator that communicate with trancription factor,TFIIB and the RNA palipmerase subunit RPB5" J.Biol Chem.,. (印刷中). (1997)
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[Publications] Yi,MK.,Nakamoto,Y.,Murakami,S.,et al: "Delineation of regions important for heteromeric omoctiation of Hepatitis C virus E1 and E2." Virology. (印刷中). (1997)
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[Publications] Ohno,H.,Murakami,S.,et al.,: "Human hepatitis B virus enhance 1 is responsive to human interlaukin 6" J.Medical Virol. (印刷中). (1997)
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[Publications] 村上清史: "ヒトB型肝炎ウイルス(HBV)X蛋白に結合するヒト宿主蛋白hRPB5の同定とトランス活性化" 臨床病学の進歩. 21. 46-51 (1995)
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[Publications] 中本安成、村上清史: "C型肝炎ウイルス表面蛋白抗原E2の高変異領域(HVR1)のB細胞エピトープ解析" 日本臨床. 53. 117-122 (1995)
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[Publications] 村上清史: "ヒトB型肝炎ウイルス(HBV)X蛋白とRNAポリメラーゼのサブユニットhRPB5との結合とトランス活性化" 日本臨床. 53. 7-81 (1995)
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[Publications] 村上清史: "ヒトB型肝炎ウイルス(HBV)X蛋白のトランス活性化機構" 臨床科学. 31. 1671-1678 (1995)
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[Publications] 村上清史: "HBV研究の新展開-HBVX蛋白は転写装置本体(RNAポリメラーゼ)と結合する" 実験医学. 13. 76-79 (1995)
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[Publications] 村上清史: "B型肝炎ウイルスX蛋白の機と肝発がん" 血液・腫瘍科. 32. 107-116 (1996)
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[Publications] 林勇、村上清史: "Far-Westerm法による蛋白と蛋白の相互作用の検索" 血液・腫瘍科. (印刷中). (1996)
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[Publications] Lin,Y.,MURAKAMI,S.,et al.,: "in Viral Hepatitis and Liver Diseases" ed.by Rizzeto et al.,(印刷中), 500 (1997)
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[Publications] 野村孝弘、村上清史: "メディカル用語ライブラリー" 小俣政男編 羊土社, 193 (1996)