1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07458184
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (B)
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
吉川 寛 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 教授 (70019876)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白髭 克彦 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 助手 (90273854)
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Keywords | 出芽酵母第6染色体 / 複製開始機構 / 開始頻度調節 / 複製開始点 / 複製開始因子 / ORC1蛋白 |
Research Abstract |
真核生物染色体の複製開始とその制御の分子機構を解明する目的で、我々が既に出芽酵母第6染色体に存在することを示した8個の複製開始点について、開始機能とそれを制御する因子を解析し、以下の成果を得た。 1、複製開始の頻度とその制御:全ての開始点からの開始頻度を2次元電気泳動法で検索した結果、8個の内5個(セントロメアの左に3個、右に2個)は細胞周期に必ず一度開始する主要な開始点であることが判明した。開始頻度は種々の細胞周期制御及び複製開始因子の変異によって影響を受けるが、その効果は一様ではなく、特にセントロメアに近接した開始点は各種の因子の変異に対して最も強い抵抗を示した。開始機能の効率と安定性を決定する因子の単離を目指している。 2、開始因子の構造と機能:開始点の配列特異的な共通構造に結合する蛋白複合体(ORC)の開始における機能を明らかにするため、ORCの6成分の中で最大の蛋白ORC1(120KDa)の遺伝子をクローニングし、発現誘導型の遺伝子を構築してその機能を調べた。細胞の成育中に発現を止めると、蛋白は数時間後には元の5%以下に急減する。それに伴って、複製開始頻度が減少し、全ての細胞がS期の途中で成育を止め急速に死滅し始める。このことはORC1を含む複合体の形成が染色体の複製開始に必要であることに加えて複製の未完成をモニターして細胞死を防止する機能にも必要であることを示している。 以上の結果、酵母の染色体の多数のレプリコンは開始点とそれを認識する蛋白質群の相互作用によってダイナミックに変動する性質を持ち、その変化をモニターする機能もまたレプリコンに内在することが明らかになった。今後それらに関与する分子と分子間の相互作用を解析して、分子機構を明らかにする。
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Research Products
(1 results)