1996 Fiscal Year Annual Research Report
神経細胞老化初期過程の分子機構-細胞骨格蛋白の輸送と重合・脱重合動態の乱れ-
Project/Area Number |
07458204
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
小宮 義璋 群馬大学, 医学部, 教授 (50010046)
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Keywords | 神経軸索 / 細胞骨格 / 微小管 / チューブリン / τ蛋白 / ニューロフィラメント / 軸索内輸送 / 蛋白リン酸化 |
Research Abstract |
神経細胞の情報出力系である軸索は非常に長い場合があり、その体積も細胞体のそれの数100倍に達する事も稀ではない。この構造と機能を維持するために、軸索には細胞骨格が発達している。そのうちの主要なものは微小管とニューロフィラメントであり、これらは全て細胞体で合成された後、軸索へと輸送供給される。軸索内の細胞骨格には1%Triton処理によってこれに不溶な安定重合型と可溶なダイナミック型が区別され、軸索の生理的な状態或は病的な状態に対応してこれらの間にはすばやい相互変換が観察される。 微小管の安定重合型とダイナミック型との間、そして後者と脱重合したサブユニットとの間の相互変換には、微小管結合蛋白であるτ蛋白が関与しており、特にそのリン酸化、脱リン酸化で重合・脱重合変換及び安定化が制御されていることを見出した。すなわち1)軸索内のτ蛋白は高度にリン酸化されていて不溶性であること。2)脱リン酸化により微小管のnucleation活性が低下すること。3)可溶性τ蛋白は可溶性チューブリンと共に遅い輸送のb成分(SCb)として輸送され、不溶性のτ蛋白はa成分(SCa)として不溶性チューブリンと共に輸送されていることから後者は安定重合型微小管との関連が示唆された。 一方ニューロフィラメントは最も安定度の高い細胞骨格成分で3種類のサブユニットからなっている。ニューロフィラメントの重合・脱重合も他の中間径フィラメントと同じくN末端側の少数のリン酸化により制御されていることが示されているが、調製中の脱リン酸化を阻害する条件下で実験を行った結果以下のような新しい知見を得た。1)Hサブユニットの約20%が可溶性であるのに対して、Lサブユニットはそのすべてが不溶性でる。2)このHサブユニットの可溶性は重合・脱重合とは無関係であり、またC末端側のリン酸化状態との間にも直接的な関連性はない。3)標識したニューロフィラメントの解析からHサブユニットの可溶性は輸送されている移動相と関連があると推定される。
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[Publications] Igarashi,M,Tagaya,M & Komiya,Y: "The Soluble N-Ethylmaleimide-Sensitive Factor Attached Protein Receptor Complex in Growth Cones ;" The journal of Neuroscience. 17(4). 1460-1470 (1997)
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[Publications] Tashiro,T,Sun,X,Tsuda,M,& Komiya,Y: "Qiffecential Axonal Transport of Soluble and Insoluble in the Rat Sciatic Nerve" Journal of Neurochemistry. 67(4). 1566-1574 (1996)
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[Publications] Fukura,H,Komiya,Y & Igarashi,M: "Signaling Pathway Downstream of GABA-A Receptor in the Growth Cone" Journal of Neurochemistry. 67(4). 1426-1434 (1996)
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[Publications] Morita-Fujimura,Y,Kurachi,M,Tashiro,H,et al.: "Reduced Microtubule-Nucleation Activity of Tau after Dephosphorylation" BIOCHEMICAL AND BIOPHYSICAL RESEARCH COMMUNICATIONS. 255(2). 462-468 (1996)
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[Publications] Igarashi,M,Kozaki,S Terakawa,S,et al.: "Growth Cone Collapse and Inhibition of Neurite Growth by Botulinun Neurotoxim CI : A t-SNARE Is Involved in Axonal Growth" The Journal of Cell Biology. 134(1). 205-215 (1996)
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[Publications] 小宮義璋: "軸索内輸送" 実験医学(Bio Science 用語ライブラリー脳神経). 別冊. 40-41 (1997)