Research Abstract |
既に開発したmicro-RT-PCRを改良し,NOS-isoform mRNAの1コピーを測定可能とした.先ず通常の1/4の6.3mg/250μlのoligo-dT cellulose懸濁液をmicro-spin columnに加え,その底に2×5mmのpelletを形成した.guanidium thiocyanateとN-lauroyl sarcosine溶液50μlで凍結乾燥組織切片または一次培養神経細胞から抽出した1コピーのmRNAを加えたpelletを,よくvortexしてpoly A mRNAをcelluose粒子に結合させ,続いて十分に洗浄した.50μlの1ng poly[dA]30merを含む10mM Tris-HCl,pH7.5-1 mM EDTA溶液を加えてよくvortexした後,65℃で5分加熱してから15,000rpmで10秒室温で遠心し,更に50μlの同じ溶液でcellulose粒子を洗った洗浄液を加えて,25μgのglycogentとmRNAを共沈させ,その沈殿に50μlのRT-PCR反応液を加え29-32cyclesの増幅を行った.この範囲のcyclesで1コピーが測定出来る事は,100ngのラット脳total RNAを10μlのRT反応液に加え倍々希釈し,40μlのPCR反応液を加えて反応させ,希釈系列の或倍数でagarose gelのbandが消える直前の希釈倍数の,bandを十分測定出来る最小cycles数を用いて昭栄した.この1コピーのPCRの確立と並行して,PCRの増幅率を計算する理論式を工夫した(詳細省略).この方法を用いて,ラット小脳以外の脳部位に発現されるnNOS,eNOS及びiNOS mRNAを,各部位の凍結乾燥切片資料を調製して測定した.nNOS mRNAが,海馬の外側核や基底核,扁桃核,嗅球,視床下部の傍室核等に多く見い出され,海馬にはeNOSが見い出された.iNOSはこれらの部位には見い出されなかった.生後5日の小脳切片organotypic cultureの層凍結乾燥試料は,層構造が乱れているため,mRNA測定に十分な試料が得られなかった.NO donors(SIN-1,nitrosocyctein)は1-2mMの濃度では,organotypic culture構造形成を阻害したが,μM濃度では殆ど影響を及ぼさず,予想していた層形成促進効果も見られなかった.同様にnNOS抗体やantisense DNAの効果も明らかでなかった.従って切片培養の技術を確立したが,予期した結果が得られず,この部分の研究は残念な結果に終わった.
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