1996 Fiscal Year Annual Research Report
ヘパリン親和性神経栄養因子の情報伝達における脳の膜総合型プロテオグリカンの役割
Project/Area Number |
07458211
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Institute for Developmental Research, Aichi Human Service Center |
Principal Investigator |
大平 敦彦 愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所, 部長 (20101074)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松井 ふみ子 愛知県心身障害者コロニー, 発達障害研究所, 助手
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Keywords | プロテオグリカン / Nーシンデカン / ニューロカン / 神経栄養因子 / 脳 / 神経回路 / 神経再生 / 脳損傷 |
Research Abstract |
神経回路網形成期のラット脳より調製した膜結合型プロテオグリカン混合物を免疫原として、モノクローナル抗体を作製した。3種類の抗体が、膜貫通型ヘパラン硫酸プロテオグリカンであるNーシンデカンを認識した。初年度の免疫組織化学的研究により、Nーシンデカンは、発達期の脳の伸長しつつある神経線維の表面に分布しているばかりでなく、成獣でも常に置換が起きている嗅神経線維の表面にも存在することを明らかにした。第二年度である本年は、Nーシンデカンが成獣ラットの神経損傷修復過程にも発現し、ヘパリン親和性神経栄養因子と協同して神経再生や脳損傷修復に関与しているとの作業仮説の下に研究を進め、次の結果を得た。 1.抗ラットNーシンデカンポリクローナル抗体の作製: 私達が保有しているモノクローナル抗体は3種類とも、ヘパラン硫酸鎖を除去したNーシンデカンと強く反応する。また、ラット以外の種とは反応しないようだ。そこで、ラットNーシンデカンのリコンビナントコア蛋白をウサギに免疫し、抗体の作製を試みている。intactのNーシンデカンを認識するものも得られているが、今のところ、抗体価が低い。 2.視神経の再生: 成獣ラットの視神経を切断し、そこに座骨神経鞘を埋め込む系を開発している。現在までの所、20例中2例に、神経再生が認められた。そのうち1例については、再生神経線維と思われる構造物にNーシンデカンが存在することを、免疫組織化学的に観察した。 3.脳損傷: 大脳皮質に外科的に傷を付け、傷周辺を免疫組織化学的手法で経時的に調べたが、Nーシンデカンの染色性の増加は認められなかった。しかし、分泌性コンドロイチン硫酸プロテオグリカンであるニューロカンの染色性が一過性に増加することがわかった。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Watanabe,E.,Kushima,Y.and Oohira,A.: "Heparan sulfate proteoglycan associated with growing aprallel fibers of granule cells in the rat cerebellar cortex" Journal of Brain Science. 22. 67-75 (1996)
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[Publications] Watanabe,E.,Matsui,F.,Keino,H.et al.: "A membrane-bound heparan sulfate proteoglycan that is transiently expressed on growing axons in the rat brain" Journal of Neuroscience Research. 44. 84-96 (1996)
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[Publications] Preobrazhensky,A.A.,Oohira,A.et al.: "Identification of a monoclonal antibody AT5 as a new member of HNK-1 antibody family : The reactivity with myelin ---" Neurochemical Research. 22(in press). (1997)
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[Publications] Fukuda,T.,Kawano,H.,Ohyama,K.et al.: "Immunohistochemical evidence for molecular interactions implicated in the formation of the thalamocortical ---" Journal of Comparative Neurology. (in press). (1997)
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[Publications] 大平 敦彦: "神経回路形成と脳特異プロテオグリカン" 神経研究の進歩. 44. 952-960 (1996)
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[Publications] 時田 義人、大平 敦彦: "脳特異プロテオグリカン;ニューログリカンC、ニューロカン、ホスファカン" 蛋白質 核酸 酵素. 42. 567-570 (1997)
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[Publications] 大平 敦彦他: "「実験医学別冊」(宮坂昌之、矢原一郎編),Bio Science用語ライブラリー「細胞接着」(分担、pp.43-51)" 羊土社, 205 (1996)
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[Publications] 大平 敦彦、松井 ふみ子: "「細胞工学別冊」(谷口、鈴木、古川、菅原監修),グリコバイオロジー実験プロトコール(分担、pp.86,pp.305)" 秀潤社, 382 (1996)