1996 Fiscal Year Annual Research Report
突然変異mtDNA導入マウス作製による糖尿病と老化の原因遺伝子の解明
Project/Area Number |
07458226
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
林 純一 筑波大学, 生物科学系, 助教授 (60142113)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
米川 博道 東京都臨床医学総合研究所, 実験動物研究部門, 部長 (30142110)
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Keywords | マウスmtDNA / 突然変異 / ミトコンドリアノックアウト / ミトコンドリア遺伝子疾患 / 糖尿病 / 老化 |
Research Abstract |
突然変異mtDNAのマウス細胞株への導入法の確立、さらには突然変異mtDNA導入マウス系統の樹立は急務となっているが、従来の方法ではDNAを核には導入できてもミトコンドリアには導入することができない。従って、ミトコンドリアノックアウトマウスの作製には、突然変異を持つマウスmtDNAと、マウスの培養細胞株からmtDNAが完全に削除され細胞株(マウスp^0細胞株)の樹立が必須である。 このような背景の中で、これまで不可能と考えられてきた「突然変異導入マウス作製による糖尿病と老化の原因遺伝子の解明」という本申請の目標のうち突然変異導入マウス作製が、以下にまとめたような今年度の成果により、かなり現実性の高いものになってきたといえる。 (1)現在当研究室で保管されている50種以上のマウスの培養細胞を様々な薬剤で処理した後、サザン法やPCR法を用いてmtDNAの様々な欠失や点突然変異を持った細胞株をスクリーニングしたところ、4.5kbの大規模な欠失突然変異を持つmtDNAを30%の割合で含むマウス繊維芽細胞株の樹立に成功した。今後、この細胞を再クローン化することにより、より突然変異の多いクローンを分離する予定である。 (2)マウス培養細胞を様々な薬剤で処理することによってmtDNAを完全に失ったp^0細胞の樹立に成功した。 (3)多様な欠失や点突然変異やが蓄積しているとされる老化したマウスの脳から、シナプス部分(シナプトソーム)を単離し、これをポリエチレングリコールを用いて、マウスp^0細胞に融合させる事により、生体からmtDNAが直接導入された融合細胞(cybids)を作製した。 (4)グルコースの濃度に応じてインスリンを分泌できるマウスのインスリノーマであるMIN6細胞株のp^0細胞株を樹立し、更にこの細胞にmtDNAを再導入することにより、この細胞が持つグルコース濃度に応じたインスリンの分泌にmtDNAの存在が必要不可欠であることを初めて立証した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Kimiko Inoue: "Mutant mtDNA at 1555 A to G in 12S rRNA gene and hypersusceptibility of mitochondrial translation to streptomycin can be co-transferred to p^0 HeLa cells" Biochem.Biophys.Res.Commun.223. 496-501 (1996)
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[Publications] Aki Soejima: "Mitochondrial DNA is required for regulation of glucose-stimulated insulin secretion in a mouse pancreatic beta cell line,MIN6" J.Biol.Chem.271. 26194-26199 (1996)
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[Publications] Sadamitsu Asoh: "Exprssion of the apoptosis-mediator Fas is enhanced by dysfunctional mitochondria" J.Biochem.120. 600-607 (1996)
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[Publications] Daisaku Takai: "The interorganellar interaction beteen distinct human mitochondria with deletion mutant mtDNA from a patient with mitochondrial disease and with HeLa mtDNA" J.Biol.Chem.272. 6028-6033 (1997)
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[Publications] Yasuo Kagawa: "Gene therapy of mitochondrial diseases using human cytoplasts" Gene Therapy. 4. 6-10 (1997)
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[Publications] 林純一: "老化にともなうミトコンドリア呼吸機能障害に関係するのは核ゲノムかミトコンドリアゲノムか?" 生体の科学. 47. 565-569 (1996)