1995 Fiscal Year Annual Research Report
鹿児島県竜ヶ水地域カルデラ壁の物性層序と崩壊発生機構
Project/Area Number |
07458246
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (B)
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
岩松 暉 鹿児島大学, 理学部, 教授 (80018663)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横田 修一郎 鹿児島大学, 理学部, 助教授 (60211653)
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Keywords | 姶良カルデラ / 崩壊 / 土石流 / オールコアボーリング / 地下水 |
Research Abstract |
姶良カルデラ壁竜ヶ水地区では、大雨の度に崩壊とそれに起因する土石流が発生して多大の被害を与えている。地形が急峻で、地質や湧水などの災害予測に不可欠な基本的情報が不足しているため、本年度は竜ヶ水直上の吉野台地でオールコアボーリングを実施した。同時に、ボーリングが到達できなかった下半部の地質については、現地踏査を行って補った。また、既存の崩壊地についても位置の確認を行った。得られた地質層序は下位より次の通りである。 ◎三船層…塊状の凝灰質砂岩を主体とする軟岩である。 ◎竜ヶ水安山岩…堅硬緻密な輝石安山岩で自破砕状を呈す。旧崩壊地が多数存在する。なお、この層の上部玄武岩直下に湧水が認められる。 ◎玄武岩…塊状の溶岩である。 ◎花倉層…凝灰質砂岩〜火山礫凝灰岩〜凝灰角礫岩からなる。旧崩壊地が多数存在する。やはり、この最上部吉野火砕流直下から湧水が認められる。 ◎磯凝灰質砂部層…未〜半固結の砂層で湧水を伴うことが多い。 ◎吉野火砕流堆積物…中溶結凝灰岩を主体とする。急崖をなす。 ◎入戸火砕流堆積物…いわゆるシラスである。 以上述べたように、湧水は2層準で認められる。すなわち、その直上の玄武岩および吉野火砕流堆積物が帯水層の役割を果たしているのである。これはボーリングコアにおいても、割れ目が多数発達しているのが認められることからも首肯できる。この地下水に起因して崩壊も竜ヶ水安山岩・花倉層に集中して発生しているのである。今後はこれら地下水の動態観測を長期にわたって行い、崩壊との因果関係を突き止めて、崩壊および土石流の予知予測に結びつけるべきであろう。
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