1996 Fiscal Year Annual Research Report
蛋白質の小胞体膜通過に関与するシャペロンの機能解析
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07458254
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
河野 憲二 奈良先端科学技術大学院大学, 遺伝子教育研究センター, 教授 (50142005)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
都留 秋雄 奈良先端科学技術大学院大学, 遺伝子教育研究センター, 助手 (80273861)
木俣 行雄 奈良先端科学技術大学院大学, 遺伝子教育研究センター, 助手 (60263448)
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Keywords | hsp70 / ストレス応答 / BiP / 酵母 / チューブリン / 微小管 |
Research Abstract |
小胞体内腔のhsp70蛋白質であるBiPは、分泌蛋白質等の小胞体膜通過に必要であり、小胞体内腔での蛋白質の折り畳み、会合を助けているシャペロンであることが明らかとなっている。細胞が高温、糖鎖合成阻害、還元剤などのストレス(小胞体ストレス)にさらされ、小胞体内に変性した蛋白質が蓄積すると、BiPが転写レベルで誘導されることが知られており、UPR(Unfolded Protein Response)と呼ばれている。我々は出芽酵母細胞質Ssalpの機能を調べる過程で、細胞内Ssalpの量を減少させると小胞体内BiP蛋白が誘導されるという新知見を得た。この誘導は転写レベルで起き、BiP遺伝子上流のHSEを介して誘導されること、また温度感受性ssal遺伝子を用いた研究から、Ssalpを活性型から非活性型に変換してもBiPの誘導が起きることがわかった。従ってただ単にSsalpの量の減少による誘導ではなく、正常なSsalpの細胞質の量によりBiPの発現が影響を受けることが明らかとなった。また高温感受性型Ssalpを発現する酵母を用いることにより、Ssalpが微小管形成に関わっており、Ssalpが失活すると微小管の形成異常を生じ、核分裂後の核の移動が正常に行われず、M期からG1期への移行に異常をきたすことを見出した。さらに微小管形成に重要な役割をしているSPB(Spindle Pole Body)の構成成分の1つであるγ-チューブリン(TUB4)変異とSSAl変異との2重変異株が合成致死を示すことが明らかとなり、Ssalpとγ-チューブリンとが遺伝的にリンクしているという新知見を得た。この発見は、Ssalpとγ-チューブリンとが協力して微小管形成に携わっていることを示唆するものである。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] M.Oka: "Sacchromyces cerevisiae KAR2(BiP)gene expression is induced by loss of cytosolic HSP70%Ssalp though a heat shock element-mediated pathway" J.Biochemistry. 121. 578-584 (1997)
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[Publications] Y.Kimata: "A novel mutation which enhances the fluorescence of green fluorescent protein at high temperature." Biochem.Biophys.Res.Commun.(in press). (1997)