1995 Fiscal Year Annual Research Report
気液界面近傍の液側乱流拡散に及ぼす密度成層の影響-大気微量気体の海洋へのフラックス-
Project/Area Number |
07459016
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (B)
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
植田 洋匡 九州大学, 応用力学研究所, 教授 (70026186)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
花崎 秀史 国立環境研究所, 大気環境部, 主任研究員 (60189579)
烏谷 隆 九州大学, 応用力学研究所, 助手 (30150527)
辰野 正和 九州大学, 応用力学研究所, 助教授 (70038553)
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Keywords | 乱流拡散 / オーシャンフラックス / 不安定成層 / 温度境界層 / 熱対流 / 気液界面 |
Research Abstract |
最近、ガス吸収の問題は地球温暖化問題と関連して注目を集めている。特に、温室効果気体の大気海洋間の交換過程はオーシャンフラックス問題と呼ばれ、海洋への二酸化炭素の吸収量の評価の不確定性はミッシングシンク問題と呼ばれている。本研究では、ガス吸収において気液界面近傍の密度成層(安定、不安定成層)が液側乱流拡散および乱流構造におよぼす影響を水槽実験により明らかにし、これに対する乱流輸送モデルを構築することを目的とする。また、これを用いて、熱帯洋上で放散過程が卓越し(このとき液側は安定成層状態にある)、極地方(液側:不安定成層)吸収が卓越するといわれる、二酸化炭素の全球的なオーシャンフラックスを高精度で見積ることを目的とする。 気液界面を通しての移動過程(交換過程)を詳細に調べるために、熱伝達実験を行った。これは、物質移動の場合に比べて温度分布の形成される層(温度境界層)の厚さが大きくなるためであり((Pr/Sc)1/2-1/3倍)、これが本研究の特色であり、独創的な点もある。実験には、温水回流式の開水路(測定部:0.6mWx0.6mHx10mL、既設)とその上部を覆う風洞とからなる、いわゆる「風洞水槽」を用いた。 本年度は不安定成層実験を行った。一定流量、一定温度の温水をヘッドタンクから開水路に流し、気液界面からの蒸発冷却より大きな上向きの熱流束を得て気液界面直下に熱対流を発達させた。開水路全域で一様な流束分布を達成するため、開水路入口に金網を設け、底面は水流と同じ速度で働くベルトコンベア-を設けた。流れ方向、鉛直方向の速度変動の測定にはレーザードップラー流速計を、温度変動測定には15μm直径の熱電対温度計を用いた。これらを同時に測定し、信号はAD変換して光磁気ディスクに集録する。データ処理として、乱流強度、確率密度関数、パワースペクトル、コスペクトルを求め、また、条件付きサンプリングによるアンサンブル平均法を用いて、乱流構造の変化、乱流から波状運動へのエネルギーの授受とそれらに及ぼす密度成層の影響を調べた。密度成層乱流理論については、これまでレ-ノルズ応力、乱流熱流束方程式を基にしたクロージャーモデルを構築してきた。これは、壁面剪断流や自由剪断流に対して高精度で密度成層効果を予測できる。本研究では、このモデルを発展させて、気液界面の効果(界面が存在することによる圧力変動場の変形と乱流から波状運動へのエネルギーの授受)を表現できるモデルを構築した。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Ueda, H.: "Formation of Secondary Pollutants During Long-Range Transport and Its Contribution to Air Quarity in East Asia." Terrestrial Atmospheric and Oceanic Science. 6-3. 487-500 (1995)
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[Publications] Ueda, H.: "Photochemical formation of Lower Fatty Acids Under Long-Range Transport in Central Japan." Atmospheric Environment. 29-2. 255-266 (1995)
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[Publications] 辰野正和: "密度成層流中における振動二次流れ" 第26回流体力学講演会講演集. 225-226 (1995)
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[Publications] Karasudani, T.: "Turbulent Hear Transfer in the convective boundary Layer Developing Beneath Water and Surface." Proc. of 10th Symp. on turbulent Shear Flows. 3. 3/67-3/69 (1995)
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[Publications] H. Hanazaki: "On the three-dimensional internal waves excited in the flow of a linearly stratified Boussinesq fluid." Dynamics of Atmospheres and Oceans. 23. 278-288 (1995)
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[Publications] H. Hanazaki: "Liner processes unsteady stratified turbulence" Journal of Fluid Mechanics. (Accepted). (1996)
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[Publications] Ueda, H.: "Computational Mechanics Publications “Efect of Tokyo Mettropolitan Area on the Air Quarity of the Kanto Plain"" P. Melli and P. Zannetti, 511 (1995)
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[Publications] 植田洋匡: "冬季都市型二酸化窒素汚染と排出削減効果 -大気汚染輸送/反応/沈着モデルの応用-" 化学工学会「流れの数値解析と化学装置のモデリング」研究会, 87 (1995)