微分方程式の教材をMathematicaを用いて開発し、実際に教育に使ってその効果を見る

1995 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 07459025
• Research Category: Grant-in-Aid for General Scientific Research (B)
• Research Institution: Konan University
• Principal Investigator: 村上 温夫 甲南大学, 理学部, 教授 (50031042)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 松本 茂樹 甲南大学, 理学部, 助教授 (50190525)
• Keywords: 数学教育 / 微分方程式 / Mathematica / 発見的学習

Research Abstract

数式処理ソフトMathematicaの(3次元)グラフィックス機能・アニメーション機能を最大限に活用して、微分方程式の解の安定性等における定性的な議論を明快に視覚化する教材を開発し、実験授業を行い、その効果を見た。
従来の微分方程式の教育においては、ともすると、その導入部においては変数分離形等の特定のタイプの微分方程式に対する(そのタイプごとに特有の)求積法をマスターすることに重点がおかれ勝ちであり、また引き続く議論において「級数解法」という方法を論ずる場合でも、ある種の確定特異点型方程式とその解である特殊関数の紹介程度に留まるといったきらいがある。求積法により解の〈closed form〉を求める手順を身につけるというような受け身の学習では数学本来の面白さは見失われよう。
我々はまた、級数解法による近似解の構成をビジュアル的に実現するMathematicaプログラムを作成し教材として実験授業に供することで、学生から大きな手応えを得た。
我々が開発した両教材を通じて、自発的に、様々な微分方程式の解の定性的・大域的な性質を調べ始めた学生が何名か現れたことからも、「解(となる関数)の性質を明らかにする」という微分方程式研究本来の問題意識に学生の目を向けさせるという我々の意図も概ね成功をおさめたものと自負している。
学生達に、数学における「発見の喜び」を体験させるという我々のサブテーマもほぼ満足のいく形で達成できたと思う。

Research Products

• [Publications] 村上温夫,松本茂樹 他: "Teaching Mathematics at a Distance" Regional Collaboration in Mathematics Education. 553-559 (1995)
• [Publications] 松本茂樹: "Schurの補題のSylvester方程式AX-XB=Cへの応用" Memoirs of Konan University, Science Series. 125-134 (1995)
• [Publications] 村上温夫 他: "Learning by Discovery Stimulates Students' Interest" Proceedings of AMC 95. (in press). (1996)