1995 Fiscal Year Annual Research Report
セラミック系材料の破壊時に放出されるガスの検出装置の開発
Project/Area Number |
07505017
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Research Category |
Grant-in-Aid for Developmental Scientific Research (A)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
菅野 幹宏 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (60011128)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北岡 諭 財団法人 ファインセラミックスセンター, 試験研究所, 研究員
松原 秀彰 財団法人 ファインセラミックスセンター, 試験研究所, 主管主席研究員
伊藤 吾朗 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (80158758)
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Keywords | セラミック / ガス / ポア / 超高真空材料試験装置 / 質量分析計 |
Research Abstract |
平成7年度はまずガス分析のための装置を製作することを目的とした。装置を作製するに当たっての要点は、材料試験を行う超高真空試料室の真空度が10^<-6>Pa以下であること、少なくとも10^<-9>Paまで使用可能な四重極質量分析計を備えていること及び多数の試料の試験が短時間でできることであった。材料試験機・超高真空試料室・四重極質量分析計・排気系を組み上げた後、大気圧からの排気、24時間のベ-キング処理・自然冷却を行った結果、真空度は1×10^<-8>となり、当初の目標を大幅に上回ることができた。また、試料を装填していない状態で試料室とベローズを稼働させてみたが、試料室の真空度の変化はなく、材料試験の際には試料以外からのガス放出は無視できる程度であると判断された。 また本装置には迅速な試験片交換のために予備排気室を付帯させたが、試料室と予備排気室を接続して試料を試料室に搬送する際、試料室の急激な圧力上昇があり、ベ-キング処理無しでは試料室が元の真空度に戻らないことが判明した。今後、四点曲げジグの加熱など、迅速な試験片交換を行うにはさらなる装置の改良が必要であるが、ジグの改良により、約3日で7本の試験片のガス分析が行える状態にはなった。 そこで、研究の第一段階として、市販されているAl_2O_3を用い、実際に破壊時にガスが放出されることを確認することとした。試験の結果、破壊時に大量のガス放出が確認され、質量分析計によるガス種の同定で放出される主なガスはN_2,H_2,CH_4,Arであることが明らかとなった。また、破面観察の結果、これらの破壊起点は粗大なポアであることが多く、このようなポアに大量のガスが捕捉されていると考えられた。このことをさらに明瞭にするために、破壊起点となるノッチをあらかじめ導入した試料について試験したところ、放出されるガス量は激減し、既述の思想を強く支持する結果が得られた。 これらの結果から、ポア内に存在するガスの検出に極めて有効な装置を開発できたとすることができよう。次年度はAl_2O_3のほかにSi_3N_4,SiCについても検討する予定である。
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