Research Abstract |
粒子充てん複合材料において,充てん粒子を如何に高分散・高充てん・高配向させるかが高機能化を図る上で重要となる。これらの特性は,充てん粒子に吸着した高分子の形態に依存するため,本研究ではまず,題目にもあるように吸着形態をプローブとして界面構造を制御する目的で,吸着高分子の分子設計をまず試みた。その結果,リビングアニオン重合法により片末端にのみ極性官能基を導入した高分子を合成することができた。さらに,アミノ基を有する高分子を得る目的でビニルアミンの共重合体を合成し,これら精密重合を通して合目的的な高分子をプローブモデルとした。次いで,その吸着形態の検討に当たって,当科学研究費補助金により平成7年度,8年度に購入した備品である,表面間力測定装置ならびに原子間力顕微鏡を駆使し,これに加えて動的光散乱,エリプソメトリー,界面張力測定,電子顕微鏡観察,表面圧ー面積曲線,レオロジー測定を有機的に組み合わせ,シリカあるいはγ酸化鉄上での高分子の吸着形態を評価した。その結果,粒子表面上で高分子鎖は,極性官能基をアンカーとし,疎水性高分子鎖がループとして媒体中に広がった吸着形態をとることを見出した。またその際,ループ部分の空間的な広がり,セグメント密度,さらに,界面での極性基密度,極性基1つ当たりの占有面積についての定量的な知見を得ることができた。これらの知見に基づき,分散性をレオロジー測定,沈降体積,沈降速度から評価したところ,吸着高分子鎖として空間的に広がっているよりもむしろ,吸着層のセグメント密度に対応することを見出した。これらの結果より,高分子の吸着形態をプローブとして界面構造を制御し,機能性複合材料を創生することが可能となった。
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