1996 Fiscal Year Annual Research Report
実社会における潜在的社会的動機の検出を目的とした実用的心理検査技法の試験的構成
Project/Area Number |
07551010
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Research Institution | KOMAZAWA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
寺岡 隆 駒澤大学, 文学部, 教授 (70000552)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
軽部 幸浩 駒澤大学, 文学部, 講師 (60234001)
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Keywords | IF-THEN法 / 社会動機 / ゲーム論 / 心理検査 |
Research Abstract |
本研究の目的は、研究代表者が開発した心理学的ゲーム論に基づく対人行動における社会動機を検出するための「IF-THEN法」とよぶ一般対人行動における反応傾向を9種の「社会動機成分」(social motive components)(単利・自虐・献身・加害・共栄・共倒・優越・卑下・平等)に分解して表現できる心理検査法を改変することによって、一般企業など実社会で直接利用できるように、用いる事態をかなり具体的に限定することによって潜在的社会動機を検出できる具体的実用性を具備した新しい心理検査法を試験的に構成することにある。ここで社会動機検出に関する理論的問題はすでに解決しているので、ここでは専ら想定する事態設定に焦点が絞られた。ここで設定された事態は、相手が自己の所属する組織の上司(同性・異性)、同僚(同性・異性)、下僚(同性・異性)である場合、自宅の所属する組織に敵対乃至競争事態にある組織の人物である場合、および、全く無関係な人物である場合の8種の事態である。ここで8種に限定したのは、実用性という点で検査内容が膨大になることを防ぐ意味もあるが、「IF-THEN法」が具備している信頼性測定に関して用意された反復部分を利用すれば、本来の形態の本質をそのまま失わずに分析プログラムを作成できるという技法上の利点があるからである。試験的に大学生を対象として行った実験研究では、データの解析と解釈に関して理論的問題は生じないこと、実施時間など実用化問題にも問題がないこと、実験結果もいわゆる常識的に十分納得して解釈できる検査であることなどが明らかになった。この検査を標準化するためには、さらなる実験研究によるデータ収集が必要ではあるが、教示用紙・反応用紙・マニュアルなどの検査最終版の作成はただ時間だけが重要な要因であると考えられるので、実用検査の構成という基本問題に関しては成功していると結論された。
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