1996 Fiscal Year Annual Research Report
三次元形状計測による文化財のデータ保存システム構築と応用
Project/Area Number |
07551012
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Research Institution | GANGOJI INSTITUTE FOR RESEARCH OF CULTURAL PROPERTY |
Principal Investigator |
増澤 文武 (財)元興寺文化財研究所, 保存科学センター, センター長 (90072793)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉村 佐紀恵 (財)元興寺文化財研究所, 保存科学センター, 研究員 (20241268)
高橋 平明 (財)元興寺文化財研究所, 人文考古学研究室, 研究員 (60261210)
川本 耕三 (財)元興寺文化財研究所, 保存科学センター, 研究員 (10241267)
塚本 敏夫 (財)元興寺文化財研究所, 保存科学センター, 研究員 (30241269)
村田 忠繁 (財)元興寺文化財研究所, 保存科学センター, 研究員 (50210042)
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Keywords | 三次元形状計測 / データ保存 / 文化財 / 考古学 / 画像処理 / 画像データベース / 計測器 / コンピュータ |
Research Abstract |
今年度は昨年度の研究成果を基に既存及び開発した三次元形状計測装置を用いて保存科学,考古学の分野での応用研究を行った。 まず,保存科学の分野では(1)木製品について(イ)木材の保存処理実験におけるサンプル材の経時変形計測、(ロ)木製遺物での経時変形量の定量化に応用した。その結果,今までの2次元的な変形データから3次元的変形データが得られ、定量的な変形過程の解明が可能となり,今後の保存処理の研究のツールとしての利用の可能性を確認できた。(2)土器の修復については(イ)破片品の仮想接合,(ロ)文様復元における展開に応用した。破片合成については接合面のパターン認識までは難しく,CGとして画面上での合成に留まった。自動合成については今後の課題である。(3)レプリカについては(イ)銅鏡での部分文様のレプリカ作製と(ロ)土付銅鐸のレプリカ作製を行なった。銅鏡では部分的な文様の拡大作製等での確認や部分的な欠損部への復元に利用可能なことを確認した。また,遺物面が脆弱で接触による型が取れない遺物についてのデータの保存及びレプリカの作製について三次元計測の有効性を確認できた。 考古学の分野では形状比較への応用を行った。形状比較法としては特徴点の有無により比較法等を換えなければならないことが判明した。特徴点があるものについては特徴点制御による比較ソフトを開発し,それを使用して様々遺物で同笵関係の判定に応用し,その有効性を確認した。また,特徴点がない遺物についても銅剣を計測対象として三次元計測で得られたデータをクラスター分析で解析することによって,より精度の高い解析を行うことができ,その研究への応用の可能性を確認できた。今後の形状比較法の新しい手法として期待される。 以上の結果から三次元計測によるデジタルデータが文化財の応用研究に大いに利用できる可能性を秘めているとことが確認できた。
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