1996 Fiscal Year Annual Research Report
SAC-CI法を中核とする大規模計算システムの構築と実用化
Project/Area Number |
07554026
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Section | 試験 |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中辻 博 京都大学, 工学研究科, 教授 (90026211)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
江原 正博 京都大学, 工学研究科, 助手 (80260149)
牛尾 二郎 日立製作所, 中央研究所, 研究員
多田 宰 東芝(株), 研究開発センター, 主任研究員
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Keywords | SAC / SAC-CI法 / 光合成 / 励起状態 / 量子化学 / ベクトル化 / 高速化 / プログラム / ポルフィリン |
Research Abstract |
(1)高速化:大型ベクトル計算機の能力、容量を最大限に引き出すようにアルゴリズムの改良、ベクトル化を行った。まず、SAC85プログラムにおいて最も計算時間を要するハミルトニアン行列の計算とその対角化部分を重点的に行った。前者では、従来のものとは全く異なるアルゴリズムを提案し、それを採用することにより5倍程度の加速に成功した。後者では、ベクトル化率の向上により20倍、更に収束性の改善により10倍程度の加速に成功した。また、収束性の改善によりこれまで求まらなかった解も計算できるようになった。これらの成果から現在の制約は計算時間よりもむしろ一時的に保存するデータの取り扱いに移行した。従って、効率的にデータを使用するアルゴリズムを検討する必要があることがわかった。 (2)ワークステーション化:ワークステーションユーザーが急速に増加していることを考慮し、SAC/SAC-CI法のプログラム(SAC85)がUNIX環境で作動するように全てのステップを変更した。その際、入出力ファイルの取り扱いを自動化し、また、計算規模に関係なく一つのモジュールで計算できるようにメモリーアクセスに変更を加えた。更に、結果解析プログラムまどを追加した上で、プログラム全体の統一を行った。この際、マシン依存性がある箇所について対応できるように整備する必要があることが分かった。 (3)プログラム使用法の簡略化:理論を十分理解していないユーザーでも無理なく使用でき、正しい結果を得ることができるように配慮した入力方法に変更した。このため、計算パラメーターは我々の経験から得たデフォルト値を設定し、不要なパラメーターは入力から除外した。また、中間データを保存する外部ファイルをユーザーが意識しないで計算ができるようにファイル構造を改善した。更に、入力についてはプログラムマニュアルの再整備を行った。結果の出力内容については再検討を行い、一般ユーザーに分かり易い出力を行うように変更した。 (4)並列化:SAC/SAC-CI法では、積分変換など分散処理に適した部分が各所に存在する。実際に、積分変換部分に並列化を行ったところ、並列化効率がほぼ線形的に得られることを確認した。この際、並列化ではディスクIOが律速となることが判明し、今後ディスクIOについても並列化を行うことが重要であることが示唆された。
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[Publications] H.Nakatsuji: "Excited and Ionized States of Free Base Porphin Studied by the Symmetry Adapted Cluster-Configuration Interaction (SAC-CI) Method" J.Chem.Phys.104. 2321-2329 (1996)
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[Publications] H.Nakatsuji: "Ground and Excited States of Oxyheme : SAC/SAC-CI Study" Chem.Phys.Lett.264. 379-386 (1996)
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[Publications] H.Nakatsuji: "Ground and Excited States of Mg Porphin Studied by the SAC/SAC-CI Method" Chem.Phys.Lett.250. 159-164 (1996)
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[Publications] H.Nakatsuji: "SAC-CI Study of the Excited States of Free Base Tetrazaporphin" Chem.Phys.Lett.250. 437-442 (1996)
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[Publications] H.Nakatsuji: "Ground and Excited States of Carboxyheme : a SAC/SAC-CI Study" Chem.Phys.Lett.250. 220-228 (1996)
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[Publications] H.Nakatsuji: "Theoretical Study of the Ionized Electronic Structure of the Octahedral Complex MoF_6" Bull.Chem.Soc.Jap.69. 1893-1899 (1996)
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[Publications] H.Nakatsuji: "The Electronic Spectra of Ethylene" Bull.Chem.Soc.Jap.69. 1901-1906 (1996)
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[Publications] H.Nakatsuji: "Ground and Excited States of Hemoglobin CO and Horseradish Peroxidase CO : SAC/SAC-CI study" J.Phys.Chem.(in press). (1997)
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[Publications] H.Nakatsuji: "Excited States of Free Base Phthalocyanine Studied by the SAC-CI method" J.Phys.Chem.(in press). (1997)