1996 Fiscal Year Annual Research Report
STM発光スペクトロスコピー用探針位置ロック手法の開発
Project/Area Number |
07554050
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
上原 洋一 東北大学, 電気通信研究所, 助教授 (30184964)
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Keywords | STM / 光放出 / STM発光分光 |
Research Abstract |
走査型トンネル顕微鏡の探針近傍からおこる可視発光(STM発光)は極めて微弱なため、そのスペクトル測定には、数十から数百秒の時間を要する。従って、この間の探針のドリフトは発光スペクトル測定の位置分解能を低下させる。この位置分解能の低下を避ける手段の一つは、スペクトル測定を時間分割して1ステップあたりの測定時間を短くし、各ステップ間に探針位置を補正する機構を入れるというものである。これにより、原子レベルの分解能を有するSTM発光計測を実現するのが本研究の最終目標である。 探針ロック機構のアルゴリズムの開発ならびにSTM制御系への組み込みの基本的な部分は昨年度完成している。今年度は制御ソフトの一部改良を行う一方で、超高真空STMシステムの再構築を行った。これまでのシステムは探針、試料のいずれかを交換する場合には真空を破る必要があった。このようなシステムでは効率的な実験は望めない。また、分解能的にも水平方向で1nm程度の分解能がせいぜいであった。これらを改善するために新たにSTMシステムを作りなおし、真空を破ることなく探針、試料の交換を可能にするとともに、HOPGで原子分解能を有することを確認した。このシステムでは発光計測用のレンズはマニピュレーター上に取り付けられており、発光計測時には試料-探針のすぐそばまで集光レンズを移動できる。この結果、非常に効率よく発光計測を行えるようになった。STMの再構築という当初予定していなかった作業のため、研究は多少遅れているが、現在、HOPG上に蒸着したロ-ダミン6G分子に探針を固定しそこからの発光を計測することにより、システムの最終チェックを行っている。これに成功すれば目標を達成したことになる。
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