1996 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロ電子ビームと2次元表示阻止型電子分析器を用いた局所表面解析装置の開発
Project/Area Number |
07554051
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
河野 省三 東北大学, 科学計測研究所, 教授 (60133930)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
虻川 匡司 東北大学, 科学計測研究所, 助手 (20241581)
高桑 雄二 東北大学, 科学計測研究所, 助教授 (20154768)
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Keywords | マイクロ電子ビーム / オ-ジエ電子回折 / 中速電子回折 / 2次元電子分析器 / 表面解析装置 |
Research Abstract |
ミクロ領域の原子配列と組成の知見を得る新たな手法・装置として,マイクロ電子ビームと2次元表示阻止型電子分析器を用いた局所表面解析装置(μ-GBMEED装置)を開発した.GBMEED法(斜入射後方散乱中速電子回折法)は先に代表者らが考察した手法で、1から3keVの単色電子線を試料表面に斜入射角で入射し,後方に弾性的に散乱される電子強度の方向依存パターン(GBMEEDパターン)を計測解析する事により,表面原子構造の知見を得る手法である.本装置では,入射電子ビームをマイクロ電子ビーム(径〜0.1μm)とし,試料表面周りに空間の取れる特殊な市販の電子銃を独自製作の超高真空システムに取り付けた.これにより,表面局所領域の励起を可能とすると同時に他の表面分析・処理機器の使用を可能にしている. また,μ-GBMEEDパターンの測定を独自製作の2次元表示阻止型電子分光器とCCDカメラを供えたシステムにすることにより広立体角での同時高効率測定を可能としている.さらに,超高真空走査トンネル顕微鏡との融合を行う事により,原子レベルでの表面形態像の情報が同一表面で得られ,局所表面領域と組成と構造解析にさらなる新局面を開いている. 開発した装置の性能試験を行うため、清浄Si(001)2xl表面のダイマー(Dimer)の傾き角の検出を試みた.他の手法により,ダイマーの傾き角は約19度であると言われているが,確定はしていない.性能試験では,清浄Si(001)2xl表面からlは2KeVのGBMEEDパターンを測定し,新たに開発した一回散乱理論による解析を行った.その結果,ダイマーによる前方散乱ピークと思われるパターンを検出したが,計測精度に難点が存在し,結論には至っていない.目下,計測精度向上を進めている.
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