1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07554060
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Research Category |
Grant-in-Aid for Developmental Scientific Research (B)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
有賀 哲也 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (70184299)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高木 紀明 京都大学, 大学院・理学研究科, 助手 (50252416)
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Keywords | 表面 / 吸着 / STM / 走査トンネル顕微鏡 |
Research Abstract |
(1)熱ドリフト補償型試料ステージの設計・製作・性能評価 100〜600Kの範囲の任意の試料温度での原子像観察を実現するための試料ステージを製作した。これは、詳細な熱拡散シミュレーションに基づいて本申請者が設計したもので、高い機械的剛性を保ちつつ、試料ステージがほぼ完全に熱絶縁されている。試料ステージは、柔軟な熱導体により固体窒素デュワ-に接続して冷却する(液体窒素では発泡振動がある)。 予備的実験の結果、ほぼ所期の性能が得られる見通しがついた。 (2)走査トンネル顕微鏡装置の設計・製作・立ち上げ・予備実験 五分割シングルチューブ型走査トンネル顕微鏡ヘッドを製作し、性能試験を行った。また、予備実験として、グラファイトなどの試料の表面の観測を行い、良好な原子像を得た。これらにより、アトムトラッキング法を行うに充分な走査速度、安定性等が確認された。特に、雑音特性に関しては、予想以上の性能が得られている。特筆すべき点としては、トンネル電流を通常のSTM装置の1/10以下の1pA程度にまで下げてトポグラフィ像が得られる点が挙げられる。これは電流検知部の低雑音化を徹底したためであるが、これにより、STMであっても、低電気伝導度の物質を観測できると期待される。 今後は、この装置を用いて、リアルタイム・アトムトラッキング法により、吸着系の動的構造について研究する。
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