1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07554066
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
伊藤 敏幸 岡山大学, 教育学部, 助教授 (50193503)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川島 正敏 (株)環境科学センター, 有機合成部, 主任研究員
浜田 博喜 岡山理科大学, 理学部, 助教授 (10164914)
中村 薫 京都大学, 化学研究所, 助教授 (10101239)
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Keywords | 強誘電性液晶分子 / フッ素官能基 / キラル化合物 / トリフルオロメチルカルビノール / リパーゼ / 不斉アシル化反応 |
Research Abstract |
本研究は主として強誘電性液晶のキラルパートの効率的合成法の開発をリパーゼの不斉アシル化反応を鍵におこなおうというものである。平成7年度,平成8年度の研究で,有機溶媒中リパーゼの不斉アシル化反応によって長鎖1-トリフロオロメチル-2-アルカノールの光学分割が達成できることを見いだした。 本年は,最近強誘電性液晶の優れたキラルドーパンになることが報告されたビストリフルオロメチルアルカンジオールの合成に絞り,エナンチオ選択的に加水分解できる酵素を探った。その結果,Candida antractica由来リパーゼを用いることでビストリフルオロメチルアルカンジオールの完璧な光学分割を達成し,>99%eeのジオールを得ることに成功している。しかも,この反応は有機溶媒中のアシル化とは異なり,非常に速やかに完結することもわかった。従来この化合物は,市販の75%eeのトリフルオロプロペンオキシドから合成されていたため,光学純度を上げるためには高速液体クロマトによる分解が不可欠であり,実用に供することが困難であった。本研究によって初めて実用的な合成法が確立されたことになる。 この結果を踏まえて液晶分子そのものの合成をめざし,リパーゼ不斉アシル化で調製したキラルトリフルオロメチルアルカンジオールの両末端に4'-(4'-オクチルオキシ-4-ビフェニルカルボンキシル)フェニルカルボン酸エステルを連結し,液晶分子を合成した。ただし,合成法に関して完全な最適化が済んでいないため,まだ多段階を要し1回目の合成では十分な機能テストにかけるだけの量が得られなかった。現在さらにスケールアップを行なっていることである。
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[Publications] Itoh,T ; Takagi,Y ; Tsukube,H.: "Review : Synthesis of Chiral Building Blocks for Organic Synthesis via Lipase-Catalyzed Reaction ; New Method of Enhancing Enzymatic Reaction Enantioselectivity" J.Molecular Catalysis B : Enzymatic. 3・6. 261-270 (1997)